非エロ同人誌のススメ

 割と同人関係のネタで来てくれているケースも多いようなので、今回は同人誌ネタで行きたいと思います。
 
 皆さんが同人誌を思い浮かべた時に、真っ先に浮かぶのはエロ同人誌でしょうか? 確かに僕もよく買いますし、二次創作のエロは基本的に同人誌でしか読めませんし、商業ではなかなか表に出せないような特殊な性癖を満たすようなものも、同人で無いと難しいような気がします。
 そして、同人誌といえばエロしか興味が無い、という人も多いように思うのです。
 しかしながら、当然ながら同人誌はすべてがエロではありませんし、むしろエロでは無い同人誌も数としてはかなり多いわけです。そして個人的には、エロじゃない健全の同人誌のほうが優れているケースが多くないか?とも思うのです。
 もちろん、エロ同人誌を否定するわけではないのですが、「同人誌といえばエロしか買わない」と言う人に、非エロ同人誌を読んでいただきたく思い、以下にその魅力を書いていきます。
 

  • エロ以外の見せ場がある

 これが一番でしょう。エロ同人誌であれば、乱暴な言い方をすれば「エロがあればいい」わけで、実用性がとにかく問われます。もちろんエロと話の内容をうまく絡めて、全年齢の本以上のエロ同人誌を出してくるサークルさんも中にはいますが、多くがエロ自体がメインです。
 ただし、非エロ同人誌ではどうでしょう? エロであればエロのスキルが高ければ良いのですが、そうでは無いのでその他の見せ場を作る必要があります。
 例えばギャグ。笑わせてなんぼです。ギャグ同人誌でも、キャラや世界観を上手く使って、原作をしっていれば爆発的な笑いを生み出している本もありますし、作者そのものの笑いのセンスを感じる本もあります。もちろん、笑えない内容のものもあるにはありますが、キャラを動かすのがうまい人は多いので、例えばけいおん!なんかでも良い感じの百合ギャグになっている本が見受けられます。鍵関係なら、物語を深く知れば知るほどに笑えるネタを書く秀逸な作家さんも多いですし、非エロ同人誌で一番のおすすめジャンルでしょう。
 
 ギャグではなくシリアス展開な非エロ同人誌も存在します。もちろん数は多くないですし、ジャンルによっては皆無な場合もあります。エロでシリアス展開の同人誌は結構あるんですが、それに比べると非エロでシリアス展開の本は少ないかもしれません。けれど、個人的にはかなりおすすめです。
 僕が買うのは、主には鍵ですが、歴代の鍵作品ではかなり多くの、秀逸なシリアス展開の本が出ています。特に最近のリトバスではすごいですね。ギャグ本も多いのは多いんですが、アンソロでも書くような著名な作家さんたちが、物語の核心に触れるような内容だったり、はたまた世界観を自分の中で昇華させた夢展開(やや悪い意味で)になっていたりと、とにかく幅広いんですよね。
 シリアス系の非エロ同人誌は、言っては悪いですが、良いのとそうでは無いのとがあります。問題は「読み応え」です。やはりシリアス展開でプラス読ませるだけの内容を描ける作家さんばかりではありません。例えば多いのは、原作をなぞっただけのものとか、あるいは描きたいことは山ほどあったことは伺えるものの、そのスタートだけしか実現できなかったもの、などです。ですが、それらをクリアした作品は、読み応えもそうですが、作者のセンスやキャラ愛・作品愛が伝わるんですよね。もちろん、中途半端で終わってしまった本でもキャラ愛などは伝わりますけど、それに加えてその作家さんの創作力や構成力、そして原作の理解力や展開力などがわかるんですよ。そうなってくると、ただの同人、二次創作と言う枠を超えたところに同人誌があるような気さえしてしまいます。

  • 二次創作以外のジャンルも存在する

 たまに見に行くジャンルがありまして、それが「鉄道」だったり「廃墟」だったり「聖地巡礼」だったりします。その他、考察本やニュースサイト管理人さんによるコラム本などもあります。こうして見ると、特にコミケくらいまで行けば、単なるパロディだけにとどまらない同人誌がたくさんあるんですよね。そしてそれらは書店委託されないことのほうが多かったりします。
 鉄道・廃墟系のジャンルであれば、そのサークルさんが自らそこへ赴き、写真を撮ったり生のレポートをしてくれるので、面白いんですよね。商業でももちろんそういう本はあるんですが、商業では見せないような場所であったり、目線を楽しむことができます。ニュースサイト系の本であれば、その時の旬のアニメやゲームを、実力ある考察サイトさんが解説していたり、独自の目線で見たりしているので、その時々の旬や時代を感じることもできるわけです。
 ただしこのジャンルの問題点は「Webだけで良いじゃん」となってしまう部分がどうしてもあるんですよね。廃線や廃墟はWebで良いものが公開されていることも多いですし、印刷よりも写真をそのまま掲載しているHPのほうが、より鮮明なものが見られると言うこともあります。ニュースサイト系の本でも、好きな考察サイトをすでに知っているのであれば、日々のブログ記事で満たせる部分はあると思います。
 それでも、本は別物じゃないかなあ?と思ってます。やはり、同人誌用に温めておいたネタだったり、作ったネタは、無料公開のものとは異なるものになっているんじゃないかと思います。ニコ動で上がってるのに、CD化されたら買ってしまうボーカロイドのCDのように、作者へ振り込めるという部分もありますしね。また、サイトは有限(突如消えてしまうこともある)ですが、本は自分が手放さない限りはずっと残りますしね。

  • 誰でも買える・作れる

 これは当然ですよね。でも、結構重要なことじゃないかと思います。
 世間的な問題ですが、同人誌がエロメインだとしたら、コミケがエロいものを売らせている場、とかそういうイメージを植えつけてしまわないでしょうか?
 そうなると、作る側も「同人誌=エロいの書けばいいんじゃね?」という思考を持ってしまいがちです。そうじゃありませんよね?
 同人誌は、それこそ小学生が書いても良いものです。ただしエロじゃないものを。そしてエロじゃない本から入れるようになれば良いと思うのですが。
 東方とかボーカロイドジャンルが賑わっていますが、何が良いのかと言えば、非エロなものが多いから、って一面はありますよね。僕はボカロしか触れてませんが、例えばボーカロイドたちのギャグマンガであったり、イラストであったりは、エロがメインではありませんよね。むしろ今現在、エロのボカロジャンルの本をほうが追いやられている感もありますし。それに、ボカロ曲にPVを作ってニコ動に投稿する中学生も登場して、いつの間にかボカロPがその人に公式のPVを作ってもらったなんて例もありますから。これはやはり「非エロ」だからこその広がり・繋がりでは無いかと思います。
 そしてそんな作品は、非エロであるからこそ若い世代が買いますし、同人だけでなくその作品が、より幅広い層に支持されていく一翼も担えるように思えるのです。

 なぜこのエントリを書いたかというと、サークルさんの中にも「非エロでは売れないからエロへ」という動きもありますし、エロ同人誌が売れる、という認識を持っている作家さんは非常に多いのです。本当は話の内容で勝負したいけど、エロと非エロでははける冊数が違いすぎるから、無理にエロを入れて出しているところもあるでしょう。そういうサークルさんが、エロなしの話で勝負できるように、もっと非エロ同人誌に読者が目を向けて行ったら良いのにな、と思うのです。
 また、エロじゃない本に同じようにお金を出せないよ!っていう人もいるかもしれませんが、経済力に余裕があれば手を出して欲しいと思ってます。おそらく、エロでは得られないものが込められている作品に出会えると思うので。
 非エロ同人誌、オススメです。


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