Angel Beats!「櫻井浩美」さん起用は、リトバスのスピンオフだという示唆なのか?

 電撃G'sの3月号に合わせて、Angel Beats!のメインキャストが発表になってましたね。
■Primula
http://d.hatena.ne.jp/cloverleaf24/20100128/p1

 鍵っ子的と言うか麻枝信者的には、主人公であるゆりの声優さんが櫻井浩美さんに決まった、そのことが大ニュースでは無いでしょうか? Twitterの僕が見てるTL的には、そこであまり反応はなかったのですが……(汗。
 ただこの主要キャストに関しては、麻枝准自身の思いやイメージに沿ったものだと公言していますし、この起用には相当な意味があるはずです。というのも、櫻井浩美さんは「リトルバスターズ!CE」で朱鷺戸沙耶役として起用されていますから。そんな直近のゲームのヒロインと同じ人を起用したわけですし、櫻井浩美さん自身が一般のTVアニメではメジャーな存在ではないわけで、アニメから入る人(鍵っ子以外の人)へのアピールにはならないわけです。それなのに主役への器用ですから、如何に麻枝さんが櫻井浩美さんにこだわったかがよくわかると思います。
 これまでもKey作品では、続けて2作品、3作品と同じ声優さんが起用されるケースが多かったのです。例えば有名なところでは、川上とも子さんが挙げられますね。Kanonではサブキャラの倉田佐祐理役で出ただけだったのですが、その声のイメージからAIRのヒロインである神尾観鈴役に推したという話があるくらいですし、智代アフターリトルバスターズ!の絡みでも、智アフで起用した涼森ちさとさんと一色ヒカルさんが、リトバスでもそのままヒロインを担当しましたよね。特に涼森ちさとさんは、智アフでもリトバスでも二役しているわけですし(ただしリトバスでは麻枝さんのシナリオでは無い)、単なる「馴染みの声優さん」という意味ではなく、こんな演技力がある、こんな声が出せるから、あるいはその声優さんの声をイメージしてキャラを、シナリオを描いたってケースもあるでしょう。
 そして櫻井浩美さんです。リトバスCEの沙耶シナリオは、まさしく櫻井さんの声や声が作り出すキャラクター性が無ければ、まず間違いなく実現しなかったものでしょう。そう考えると、そもそも麻枝さんは、櫻井さんを沙耶に起用しようと最初から考えていた……と言うことにもなります。あの声の存在感とキャラ付けは、他の人で代用なんか効くんだろうか?と思ってしまいますよね。なので、相当早くから決まっていたと言うか決めていたような気がします。
 これだけ癖の強い、存在感のある声優さんなので、Angel Beats!でもヒロインに起用したと言うのは、やはり意図があるように思えてなりません。では、どんな意図でしょうか? また、その裏にある麻枝准の思惑とは何でしょうか?

 そもそもAB!は「死後の世界」で、死んでしまう運命に抗おうと言うのが主人公である"ゆり"なわけですが、それってリトバスの沙耶とも共通点があるんですよね。沙耶は一人で(あるいは理樹と二人で)立ち向かったわけですが、ゆりは仲間たちと共に戦う……。そういう違いはありますが、沙耶シナリオとの設定の共通点はそれなりに多いです。今はAB!のSSが麻枝さんによって連載されていて、内容自体はかなり異なるのかもしれませんが、それでも企画段階では似ていたと思うのが自然でしょう。
 沙耶は死んでいた可能性も非常に高いわけですし、シナリオ中にも死んだりはするもののそれでは終われなくて、最終的には自身で世界を終わらせてしまうわけですが、それってつまりは、終わっているはずの世界で何かを為しえたい、残したいからでしょう。そう考えると、沙耶とゆりは共通点があるんですよね。やや強引ですが。
 そして、Angel Beats!リトバス沙耶シナリオの作成時期は、実は近いらしいと言うことが、AB!のスタッフリレーコラムで明らかになっています。なので、もし同時進行、あるいは時間的に連続して作成されたものであれば、沙耶からゆりというキャラが生まれた可能性も否定は出来ないでしょう。

 リトバス沙耶シナリオは、恭介が愛読している「学園革命スクレボ」の設定をリトバスに持ち込んで展開されるシナリオでした。朱鷺戸沙耶というキャラも、冷酷な女スパイと言う設定は「スクレボ」のもののようです。
 Angel Beats!もこの設定を一部踏襲しているんじゃないかと思うんですよね。全部が全部、と言うわけではないでしょうけども、例えば学校内が舞台であるとか、物騒な武器を持って戦うことがメインになること、そして何が正義で何が悪か、何がゴールかがハッキリしないところなど……(リトバスでは一応「秘宝」か何かを求めてだったと思いますが)、結構共通点がありますよね。
 AB!ではめちゃくちゃ多くのキャラが登場するわけですが、でも、生徒会長である天使に歯向かう戦線と言う意味からすれば「学園革命」と言う言葉の意味がピッタリ来ますよね。リトバスでは時風瞬(=恭介)が親玉だったということも、同じ生徒同士で敵味方に別れて戦う、と言う共通点があります。どう、天使とゆりたち戦線のメンバーが戦うのかはわかりませんけども、図式としては沙耶シナリオと似ているし、スクレボの世界の一解釈である共通点はあるんじゃないかと思います。

 実は、Angel Beats!のほうが、リトバス沙耶シナリオよりも先だった、と言うケースです。実はこれもあり得るんじゃないかと考えています。いつ麻枝さんがリトバス沙耶シナリオを書いたのかは定かではありませんが、無印が発売された後であることは間違いないでしょう。
 ちなみに、AB!の企画が出たのは2008年3月(PA堀川社長のリレーコラムより)……。リトバスEXが出たのが2008年9月26日ですから……さすがに麻枝さんにAB!の企画が来た時には沙耶シナリオは終わっていたと考えるのが普通ですが、でも実は同時進行だった可能性も否定出来ません。沙耶シナリオは、リトバス本編とは出来るだけ関わらないようにと作られたシナリオでしたが、ある意味では、リトバス内にもう一つのシナリオ、あるいはゲームを作ってしまった、とも受け取れるでしょう。そう考えると、AB!の構想を練っている最中に沙耶シナリオを思いついた、と言う可能性も全否定は出来ないでしょう。何せ、これだけ共通点があるんですからね。
 というのも、AB!はあれだけたくさんのキャラが出てきて、お笑いにシリアスにと色んな展開があるんでしょうが、沙耶シナリオでもある程度は入ってましたよね。しかもほぼ、理樹と沙耶の二人だけでほとんどの要素を網羅してしまいました。こぢんまりとAB!を描いたと言っても良いように思えます。
 まあ、無理ゲーな考え方なんですけどね。こういう考え方も面白いんじゃないかと言うことで。


 かなり妄想も含んだ適当なことを書いてしまいましたが、それだけリトバスの沙耶シナリオとAB!は密接に考えても良いんじゃないかと考えています。もし大きく期待を裏切る(予想的な意味で)ようなことになったとしても、違っている部分を探すのは楽しいでしょうしね。
 Angel Beats!はぜひ成功してもらいたいので、これからも何かあれば記事を書きたいと思います。


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