Angel Beats!が一般ウケしないのは、一般アニメとの「1話の重みor位置づけ」の違いか?

 Angel Beats!の評判が、鍵っ子と一般アニメ好きとの間でもの凄く差が出ているように見えて面白いですね。個人的には、第二話で多少でも「面白くなった」と思えるかどうかで、この作品へのスタンスが決まるんじゃないかと思ってます。たぶん第二話よりも第三話は更に面白くなっているはずですが。

 しかしながら、鍵っ子の評判が良いってことに対して、一般のアニメ好きの人から見れば「何で?」となっているのかもしれません。もちろん鍵っ子の中でも楽しめていない人もいるでしょうし、逆に一般のアニメ好きの人でも十分に楽しめている人もいるでしょう。が、恐らくはAB!という作品をどういう風に見ているかによって、その差が出来てしまうんじゃないかと思っています。それを検証してみたいと思います。

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 1話の位置づけと言うのは、簡単に言えば、アニメを「1話単位で評価する」か「複数話をまとめて評価する」か、です。
 アニメの話題をブログやTwitterで見ていると、例えば「このアニメの○話は誰それが作っているから……」とか、1話ごとに感想を言い、評価をしていくのが主流になっているような気がします。話ごとに作家や原画家も違うことがあるので、作品ごとと言うよりは、その1話ごとが一つの作品のような見方をしているように感じています。
 もちろん、ラノベやゲーム原作のアニメなんかだと、作品全体のストーリーで評価を決めるのが普通でしょうけども、それよりも1話1話が放送されるごとに、その作品についての評価を1回1回していくほうに重きが置かれている気がします。アニメの感想が、Twitterなら放送中(実況)からリアルタイムに、ブログでも放送直後から数日以内に更新されているので、記事単位としても1話ごとの感想や批評、考察を見る機会のほうがどうしても増えてしまうからかもしれませんが。
 それを意識してなのか、特に深夜アニメは1話単位で作りこまれるケースが多いように思います。1話ごとに完結していると言うか、1話で理解できる作りになっていることが多いと言うか。なので余計に、1話ごとでも特に「第一話」に全力を注いでいる作品が多いようにも見受けられます。


 しかしながら、Angel Beats!はどうもそうではありません。作画は「第一話」のほうが良かったように思いますが、「第一話」ではオープニングを放送しないままエンディングまで突っ走りましたしね。あのオープニングを「第一話」で放送しないあたりが、1話に注力する他のアニメとは作りというか構成が大きく異なる気がします。というのも、1話にそれぞれ100%出していない気がするんですよね。1話で100%出していないと言えば語弊があるのですが……。

 何が言いたいのかと言えば、AB!における「第一話」の位置づけと、従来の深夜アニメでの「第一話」では位置づけが大きく異なります。なのでAB!を従来の深夜アニメと同じような見方で見ていると、AB!の「第一話」は相当最悪な「第一話」だったと言わざるを得ません。何せ、ダイジェスト的にAB!という作品を構成して見せたに過ぎませんし、何より内包する要素が多すぎて、ダイジェスト的に飛ばして見せても、その要素の一つ一つを説明して視聴者に理解させるところまで持っていけてませんし、それでいて更に伏線も、わかるようなものもわからないようなものも合わせて埋め込んできているので、これ単体で「面白かった!」と絶賛出来る人がどのくらいいるのかと逆に聞いてみたいくらいです。
 AB!を見ていればわかりますが、「第一話」で投げっぱなし状態だった要素の一部に、第二話でフォローがついていて少しずつ世界観が解けてきたことを見てもわかるように、この作品は1話1話の積み重ねで作品全体を描いていると思うのです。もちろん、1話ごとに見せ場を作ってある程度のオチをつけて……と言うことはしていますが、ハナから1話ごとに理解させようと言う感じではありませんよね。1話1話でパズルのピースを埋めていって、おそらく終盤にならないと全貌が見えてこないような構成になっているんだと考えています。なので、当然ながら従来の深夜アニメを見てる感覚では、製作者の意図通りの見方は出来ないと思います。
 つまりは、AB!の作りは「ゲーム」や「小説」的なんですよね。一部分を切り取っても意味がわからないのと、全体を見て初めて評価ができると言う意味で。麻枝さんがアニメ制作の経験が無いこともあるでしょうが、やはり全体的にゲーム的な構成にはなっているんじゃないかと思います。

 ぶっちゃけ、「製作者の意図通り」に見てもらえないとしたら、AB!の作り自体は失敗なんじゃないかと思います。要は、深夜アニメ視聴者のニーズや傾向に合わせなかったという意味で。やはり1話単位で評価する視聴者たちに対しての作り方ではありませんよね。もし本当に見てもらいたいのであれば、郷に入っては郷に従えではありませんが、想定している視聴者層に合わせた作りにすべきだったと思います。
 しかしながらそれでは、麻枝さんの意図した演出も、AB!の企画で当初目指していた高みにも到達しなかったでしょう。やはり、今までの深夜アニメで行われていた手法を変えてやろうという意図もあったはずですので。なので敢えて、こういう1話ごとには完結しないようなスタイルを貫いたんだと思ってます。それが受け入れられるかどうかは、やってみないとわからないって感じだったのかもしれません。今のところは失敗くさいですがw 昔の「エヴァンゲリオン」などのアニメではこういう手法が取られていたように思うので、AB!は後半勝負で良かったんじゃないの……って思うんですが(汗。Twitterやブログ経由でのクチコミを期待して。
 ただ視聴継続してくれたら、恐らく評価が下がっていくことはないように思います。なので序盤は、いかに視聴を切られないか? と言うことに重きを置いている可能性もありますね。それも上手く行っているかはわかりませんが……。

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 まあ、信者のキモい目線ではありますが、そんな認識の違いから余計にdisられてるのかなあ? と思った次第であります。


 

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