SHIROBAKO 7話で見えた、新人アニメーター安原絵麻ちゃんとおっぱい作監瀬川さんの意外な共通点とは?

 SHIROBAKO7話観ました。何か安原絵麻ちゃんの記事を書いたらちょうどスポットが当たる回で、かつ彼女が壁にぶち当たる回で間が悪かったかなあとちょっと思ってます。が、彼女が早くに動画から原画に上がってたことや、デスクの本田さんも早いと言っていたりするなど彼女の素質がそれなり以上のものだということは当たっていたんじゃないかと思ってます。

【参考】
「年収安すぎ? SHIROBAKOの新人アニメーター安原絵麻ちゃんの現段階でのスキル(能力)と将来性とは?」
(前回の記事:SHIROBAKO6話まで観た時点での記事です)

 彼女の上昇志向の強さとかアニメーターになって絶対に成功してやるんだという意気込みも6話までから伝わってきましたし、逆に7話はそれが空回りしているような印象も受けましたが、それがムサニ外のフリーアニメーターであり「えくそだすっ!」では主力の作監でもある瀬川さんからの指摘で一気に落とされたことが非常に印象深かったです。
 さてそんな安原絵麻ちゃん(以下絵麻)ですが、ちょっと気になることがありました。


一体何食分のカレーを作りためしてるのでしょうか……。

ただ食べるために食べている感じ。。

 これは7話途中に家に帰って昼ごはんを食べてまたムサニに戻るシーンですが、非常に作業的かつ経済性を追求した結果という感じがします。彼女が倹約してるのは前回の記事でも指摘したとおりですが、どっちかといえば時間の効率的な使い方をしてるという感じでしょう。カレーなら一気にたくさん作れますし、それなりに栄養も取れますし食べやすいしで、食べるのに使う時間も大幅に減らすことが出来ます。みゃーもりことあおいの絵麻の「座席率がムサニで一番高い」という話もそこから繋がると思います。とは言え4話終わりでは半額品とはいえ弁当を買いに行ってましたし、5話では1人でもオムライスを作ろうとする余裕がありましたから、彼女の中でのスケジュールが押してて余裕のない状況がこの「カレー」から伝わるかと思います。
 そしてもう一つ気になったのが、ムサニの他の面々のこういうところです。


男連中(7話ではありませんが)。

総作監補の井口さんがスモーカーだったとは……。

 休憩時間というかリフレッシュのためにタバコを吸うのはよくあることです。男性陣はそこで色々と喋ってますが、井口さんは1人で出てきてタバコを吸おうとしてますが、まさに一服というやつでしょう。
 他にも、

 絵麻の隣に座っているおじいちゃんアニメーターの杉江さんのほうじ茶です。これには彼女も気づくほどの香りがしてたわけですが、香りとか嗅覚からリラックスさせるという意味では杉江さんにとってのタバコで一服、という意味合いでしょう。
 しかしよく考えてみてください。彼女にはこういう息抜きとか一服というものが描かれていないのです。もちろん、比較的余裕のあった頃の話数ではそういう描写がなかっただけなのかもしれませんが。


5話でタローの言い方に大声を上げる遠藤さん。そしてゴスロリ様(と井口さん)が観てる。

 まあゴスロリ様くらいになると許されるとかそういう話なのかもしれませんが、ゴスロリ様こと小笠原綸子さんは机まるごとを何やらお人形さんワールドに仕立て上げていて、自分の空間を作っています。まるで自室にいるような感じなのか、あるいはこうすることで仕事モードになるのかはわかりませんが、どちらにせよ切り替えがものすごく上手そうな印象を受けます。隣の井口さんはタバコがありますからね。


杉江さんと絵麻のブース。

 絵麻は新人原画マンですからそんなに私物を持ち込んだりとか出来ないのかもしれませんが(タロー君はフィギュアいっぱい飾ってましたけどw)、せいぜい音楽プレーヤーくらいしか無さそうで、会社に出社してる時は絵と向き合ったままの時間がほとんどなのでしょう。彼女にとって会社でリラックスできるのは、恐らくはあおいと喋ってる僅かな時間くらいなものなのでしょう。それが7話では暗転してしまうわけです。リフレッシュ源だった人間がストレス源に変わってしまったというか。
 ちなみに絵麻の部屋を観ればわかるように、とにかく必要最低限のものしかなく、自室にいても食べて寝るだけの場所にしかなっていないように思います。恐らくは5話みたいに、あおいを部屋に呼んで自分が作ったご飯を一緒に食べることが一番の癒やしだったのかもしれませんが、それも出来なくなってしまいました。


絵麻のリフレッシュにもなる、あおいからの「ウチくる?」を断り、高校の時の絆の象徴でもあるどんどんドーナツも井口さんに渡してしまい、完全に拒絶モードに入ってしまった絵麻。あおいはタローとは違ってちゃんと飴も提案しているのですが。


今回のあおい宅。酒やツマミを常備してこれで1日リセットしてるようでw

 この辺りは、彼女の上昇志向の強さと後には引けない戦いであることや自分には絵(作画)しかないということで余計にこうなってしまっているのだろうと考えます。そういえば高校時代にも、他の4人が別の作業へと興味が移る中で1人黙々と作画作業を続けていましたよね。根気があって1つの作業を長時間こなせるのは武器でもあるのでしょうが、詰まった時には諸刃の刃とも言えそうです。


絵に対しての生真面目さが伺えます。

 で今回は瀬川さんに出した4カットの原画全てにリテイクという残酷な話になりましたが、視聴者が観てもこれはダメだと思ってしまうような雑な原画になっちゃってましたね。


時間かけたけどキレイな安原絵麻原画。

時間を優先した雑な安原絵麻原画。

 これは瀬川さんもガッカリするわ、と思いましたが、ちょっと言葉がキツくなっているのは自身もギリギリの状態で作業してる中で、今までは丁寧で良い原画を上げてくれていた絵麻が時間を優先したとは言え雑で良さが全く感じられないようなものを上げてきたことへの裏切りに対してのものだったように感じました。


瀬川さんが冷えピタ装備してたのは急な原画依頼で綱渡りで仕上げてくれた1話以来でしたか。

 とは言え、ちょっと絵麻の原画に対しての言い方がかなりキツくて驚いたのですが、そういえば……と瀬川さんと絵麻にある共通点を思い出しました。それは……絵というか仕事以外のものがほとんど描かれていないことです。


瀬川さんの机の上。にぼし味ってなんだ……。

 カロリーメイト風のものとドリンク剤が置いてありますが、食事の時間を短縮していかに作画や作監の仕事に時間を回しているかという様子が伺えると思います。
 そう、色んなものを犠牲にしてまでも仕事を優先してる絵麻と似てるんですよね。そういえば2人の部屋が共に地味な和室であり、かつ殺風景なのも共通しているのかもしれません。


絵麻の部屋。

瀬川さんの部屋。仕事をするためだけの部屋という塩梅。

 瀬川さんは社外のフリーアニメーターですから仕事の場面以外は描かれないのかもしれませんが、そういえば6話であおいがイデポン展に誘った時に瀬川さんは遠藤さんに譲りましたが、別にチケットは1枚じゃないでしょうし自身が行きたければ行くはずです。が、行かないのは瀬川さんが仕事命だからではないでしょうか。そういえば7話で演出の山田さんが「そろそろ瀬川さんがキャラデザやらないかな」と言ってますが、それは獅子奮迅の活躍を見せていて、さらに上を観たいと思うからこそ出てくる話なわけです。逆に言えば、キレて作監作業を放り出してしまう遠藤さんは後輩誘って飲みに行ったりしてるところも描いているわけですが(その後輩がモチベ上げて良い原画を早く上げたりしてるので、遠藤さんは遠藤さんで良い先輩してるのですが)、そういうところが描かれていない(遠藤さんとは逆の?)瀬川さんは本当に仕事一筋なんだろうなと思うしだからこそ周囲からの評判も良いんだろうなと思うわけです。
 そんな瀬川さんだからこそ、絵麻の上げてくる原画の几帳面さとかから伝わってくる誠実さとか仕事に対しての真剣さが気に入っていて、そこからのあの荒れた原画を見せられたからこその辛辣な評価だったのではないでしょうか。妄想ですが、上がってくる原画から伝わる絵麻の人柄や素質、仕事への姿勢なんかが気に入っていたからこそのキツい言い方だったのだろうと思うわけです。社内と社外の作画で直接会ったり指導したりとか出来るわけじゃないことによるすれ違いも描きたいのかもしれませんが、それ以上に瀬川さんの絵麻への期待と裏切られた感があの反応に繋がったのかなと読み取れました。瀬川さんの原画は「理詰め」という遠藤さんの評価もありましたが、そういうものが絵麻の原画にはあったのになくなってたことへの失望もあったのかもしれません。
 絵麻の目指す目標である「なにわアニメーションの堀内さん」がどんな経緯で上り詰めたのかはわからないのですが、少なくとも仕事のみが生きがいというか全てという生き方は、そういう生き方をしてきて作監からキャラデザにまで上り詰めようとする瀬川さんは、当面目標とすべき存在なのかなとも思うわけですが、社内の人たちみたいに息抜きの仕方を覚えるのか、瀬川さんと腹を割って話す展開になるのか、それとも別のやり方を模索するのか……次回以降の絵麻の進む道が今から気になって仕方がなくなりました。

COLORFUL BOX / Animetic Love Letter(TVアニメ『SHIROBAKO』オープニング/エンディングテーマ)(初回限定盤)

COLORFUL BOX / Animetic Love Letter(TVアニメ『SHIROBAKO』オープニング/エンディングテーマ)(初回限定盤)