水島努×岡田麿里の新作アニメ『迷家』の展望とか期待とか

 2016年になりました。今年もよろしくお願いします。
 ちょうど冬コミの準備をしていた2015年末にビッグニュースが飛び込んできました。『迷家-マヨヒガ-』というアニメが発表されてました。しかもそのスタッフが個人的には驚きでした。

迷家-マヨヒガ-』
監督:水島努
シリーズ構成:岡田麿里
キャラクターデザイン:井出直美
音楽:横山克
制作:ディオメディア
製作:ポニーキャニオン

 何とあの水島努監督が、あの岡田麿里さんと組んでオリジナルアニメを作るというのです。もちろん、水島努監督は大好きなのですが、岡田麿里さんも『花咲くいろは』とか『心が叫びたがっているんだ。(以下ここさけ)』『selector』など好きなアニメが多いので、いずれ組んだアニメも観てみたいなあ……と思っていたのですが、それが特に前触れもなくいきなり出てきた感じでひっくり返りそうになりました。
 組んでくれたのは嬉しいですし、とても楽しみなのですが、反面、個性の強い2人なだけに、相乗効果よりも水と油になりやしないのかとか、ちょっと余計な心配もしてしまいます。
 とは言え楽しみのほうが大きいので、何でこのタッグが実現したのかとかを考えてみたいと思います。

 まずは水島努岡田麿里の接点がどうなっているのかが気になるところでしょうか。過去の水島努監督作品を色々と調べていましたが、岡田麿里シリーズ構成どころか1話だけの脚本の参加さえ確認できませんでした。つまり、直接一緒に仕事をしたことのないのです。とはいえ、岡田麿里シリーズ構成アニメで言えば、昨年の「幸腹グラフィティ」は新房昭之監督(総監督)と初めて一緒に仕事した作品になりましたし、脚本家が今まで組んだことのない監督と仕事をすること自体は珍しいことではありません。
 とは言え、全く接点のない2人が一緒に仕事をすることになるわけですから、何かしらの繋がりがあるのだろうと考えるのが普通かなと思います。もちろん、「アニプレックス」だの「ポニーキャニオン」だのといった製作会社単位であれば、どちらも多作傾向にもあることから同じところと仕事をしたことはあるのでしょうけど、制作会社であるディオメディアとの繋がりから考えてみましょう。
 ディオメディア水島努監督とで言えば、ご存知『侵略!イカ娘』が容易に思いつくかと思います。今回の『迷家』と同じポニーキャニオン製作でしたし、むしろ繋がりはそこだけだろうと思います。
 しかしながら、ディオメディアの前身であるスタジオバルセロナ時代にまで遡れば、水島努監督のフリー転向後初期の問題作OVAである『大魔法峠』がありました。10年でようやく3作目……ではありますが、普通のアニメ監督でいえば1年に1〜2作あれば良いほうだと考えると、割と頻繁に組んでいるのかもしれません。さすがにイカ娘の後からと考えると時間がかかりすぎなので、直接話が行ったような感じではないかなと思いますが。
 そして岡田麿里ディオメディアとの繋がりですが、ディオメディアになってからでは1度も仕事したことがないかと思います。が、前述のスタジオバルセロナ時代には、小学生女児と教師との危ない関係を描いたマンガ原作の『こどものじかん』でシリーズ構成を手がけています。非常に話題にもなりましたから、むしろそこからご無沙汰だったのが不思議にも思えるくらいです。
 となると、やはり接点はディオメディアだということになるのでしょうか。企画は、ディオメディアのプロデューサーがどちらかに話を持って行って進んだ話なのでしょうか? そういえば、何となく雰囲気がディオメディア制作の『悪魔のリドル』と遠からずという感じもしないでもないというか……。製作も同じくポニーキャニオンですから、ポニーキャニオンのプロデューサーという線ももちろんあるかと思いますが。

  • 迷家』はどんなアニメになるのか?

 さて、そんな2人が作る『迷家』はどんなアニメになるのでしょう? まあ内容についてはまだ語るほどのものは無いのかもしれませんが、この2人が作ってきたアニメの傾向から何か見えてこないでしょうか?
 水島努監督のオリジナルアニメといえば、これまで『ガールズ&パンツァー』と『SHIROBAKO』があったわけですが、それらと今回の『迷家』では雰囲気がかなり異なるように思います。近いといえば、最初から多数のキャラクターが登場するというところでしょうか。水島努監督作品はオリジナルでも原作ものでも、登場するキャラクターが多いアニメが目立ちます。予算が付いているから出来るというのもあるのでしょうが、たくさんのキャラを登場させることでそれぞれのキャラの登場シーン自体は非常に短いのに、それぞれのキャラの印象を強くさせていると感じます。
 『迷家』は何だか雰囲気が『Another』っぽいですよね。もちろんホラーとかミステリとか一辺倒にはならなさそうな感じが監督のツイート からは伝わってきますが。

 岡田麿里シリーズ構成のオリジナルアニメといえば枚挙にいとまがないですが、1つ傾向があるとしたら「ディスコミュニケーション」なのではないかと勝手に考えています。『ここさけ』でもそうでしたし、何となく本心とは違うように相手に伝わってしまったり、そこがキッカケでわかりあえなかったりトラブルが起きてしまったり、という感じです。境遇の全く異なるキャラが多数集まって何かしら起こりそうな『迷家』にも何処か通じそうな感じがします。それが恋愛関係(のもつれ)なのか、あるいはいざこざ(がもつれての傷害事件的なもの)なのかはわかりませんけども。
 『鉄血のオルフェンズ』など、やや多数のキャラを動かすのは得意じゃないんじゃないかと思ってる岡田麿里と、『SHIROBAKO』キャラクターの恋愛関係の描写を避ける傾向のある水島努監督……と考えると、やはり水と油というか合わないんじゃないかとも思うわけですが、両者の不得手な部分を補い合えるのであれば、これ以上ないタッグになるような気もします。その結果、どんな作品が生まれてくるのかは想像もつかないのですけど、楽しみですね。

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 僕としては、多数のBDを購入したアニメの作り手でもあるので期待しかしていません。ジャンルを決めたらそれに忠実なアニメを作る水島努監督ですから、若干ジャンル分けしにくいという部分には不安を感じていますが、そういう作り方をした時にどんなアニメが出てくるのか、という楽しみでもあります。
 もう一つ不安なのは、ポニーキャニオン製作の冴えないオリジナルアニメということでしょうか。まあプラスが勝つかマイナスが勝つか、という感じもしますけど、期待して待ちたいと思います。

迷家-マヨヒガ- 公式ホームページ
http://mayoiga.tv/

冬コミ(C89)寄稿本紹介〜ここさけ・SHIROBAKOほか

 さて、冬コミが近づいてきました。まあ今回はスペースを申し込んでいないので僕の本はありませんが、いくつか他所のサークルさんに寄稿していますので紹介したいと思います。

  • ここさけ評論集

 どらトラさん(@dragonsnow1992)が主催する、ここさけこと『心が叫びたがっているんだ。』評論集に、「『ここさけ』がテレビシリーズだったら 〜『あの花』との比較〜」という内容で寄稿しています。

■頒布日・頒布場所
1日目(29日火曜日)東チ45b LandScape plus
3日目(31日木曜日)東ピ41a アニメクリティーク刊行会

本の紹介ページ:どらトラのアニメ漬け記録

  • むんくろ読本

 ミルトさん(@miruto)が1年に1度発行している「むんくろ読本」に「『SHIROBAKO』で、社会人主人公のお仕事ものアニメは確立するのか?」という内容で寄稿しています。
 お世話になったニュースサイト発行のむんくろ読本も、今回でFinalということでちと寂しいのですが、興味のある方はぜひお願いします。

3日目(31日木曜日)東ピ51b むんくろ
本の紹介ページ:MOON CHRONICLEのむんくろ読本Final 紹介ページ

[c89]コミックマーケット89 むんくろ読本FINAL 2015

  • Fani通

 『数多のアニメ作品について、評価と感想と妄想を語り合う同人誌「Fani通」シリーズ。その16号目となる「Fani通2015上半期」』に、僕も10本くらいの作品のレビューというか感想などを寄稿しました。
 色んな人の感想とかが観られるのと、リアルに点数で明示化されるのは観ていてすごく興味深い本になってます。票数が集まる/集まらない作品に分かれるのも面白いですよ。オススメです。

1日目(29日火曜日)東チ-54b M.O.M.発行準備組合 ほか(1〜3日目全日どこかで頒布されています)
2015年度春夏アニメ徹底レビュー! アニメクロスレビュー同人誌 「Fani通2015上半期」冬コミで頒布します!
(本の紹介ページ)

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 僕は、いるとしたら1日目のスペース付近だと思いますが、御用があれば午後にでもTwitterで声かけてみてください。
 それでは、よろしくお願いします。

話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選〜りきおの雑記・ブログ選

 年の瀬です。Twitterで「話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選」の記事の更新が流れてくると年末だなあ……と感じて少し焦るようになってしまいます。それと同時に、その年のアニメを振り返るいい機会にもなっているので毎年やりたいんですけど……何かここ2年くらいはやってなかったようです。冬コミ原稿に追われていたのと、精神的に追い詰められていたような感じでロクな年末を過ごしていなかったみたいですね。。今年は冬コミのサークル参加を見送ったこともあり、精神的なゆとりが出来たので、3年ぶりの話数単位をやってみたいと思います。

■冬

脚本:浦畑 達彦 コンテ:篠原俊哉 演出:平牧大輔


 SHIROBAKOの面白さについてはもう言及するまでもないのですが。
 アンデスチャッキーの特別EDが流れた回です。それに、絵麻の酸っぱい顔を作画するために自分自身が酸っぱい顔をして鏡に写し、それを自らが作画をするという非常にメタなことをやったり、矢野パイセンがヒゲこと池谷ひろしを釣り堀から連行してきたり……と、これだけでも盛り沢山な回でしたが、ムサニの社長である丸川の過去回想から、武蔵野動画時代のアニメ制作風景を描いたりととにかく濃い話数でした。過去と現在とをつなぐという意味でも非常に良い回だったと思ってます。


このアンデスチャッキーのタイトルロゴもわざわざ当時の感じで作ったんでしょうなあ……。

※参考
「SHIROBAKO作中の多重なメタ構造が面白い場面を紹介する」(ブログでの過去記事)

脚本:高橋龍也 絵コンテ・演出:岡本 学

 デレマスアニメは、どっちかというと1期のほうがキャラを絞ってフォーカスを当てていたような感じがして好きだったかなあ、と思ってます。2期はちょっとアレでしたね。
 というわけでデレマス1期の神崎蘭子回でした。もともと割と気になっていたキャラでしたが、1話まるごと蘭子の話で、めっちゃ良かったです。つーからんらん可愛すぎだろ……。

■春

脚本:村井さだゆき村越繁、山田哲弥
ストーリーボード:森田宏幸、大串映二、福島宏之、安藤裕章、島津裕行、吉川浩司

 シドニアの騎士は1期から引き続いて2期も観ましたが、若干危機的状況から脱して日常を描いたことで緊張感は薄れたものの、終盤はさすがの展開だったと思います。それの最終回を選びましたが、さすがの紅天蛾&エナ星白でしたね。3DCGの女性キャラというか女体もここまで来たか……という妖艶さが、洲崎綾さんの演技と相まって非常に興奮させられました。

 まあそれだけではなく、この戦いを終わらせたのが、谷風ではなく他の要員たちの一斉射撃という展開も、チートな主人公が全部解決してしまうんじゃないんだ……って思わせてくれて良かったところでしたね。

脚本:花田十輝 絵コンテ・演出:三好一郎

 序盤は吹奏楽あるあるネタが多くて辟易気味だったのですが、中盤の久美子と麗奈が山登りする回あたりから一気に面白くなってきました。ユーフォで一番人気の回はそこだとは思うのですが、個人的には最終回一個手前の12話を推したいと思います。
 主人公である黄前久美子がとあるパートを上手く演奏できず苦しむ回なんですが、ここが良かった。ここまでの彼女は、努力せずともそれなりな演奏が出来るセンスがあって、それゆえに若干醒めたところがあって(作中で他のキャラにも言われてましたが)、情熱的で向上心旺盛な高坂麗奈とはどこか温度差があったのですが、上手く演奏ができない→上手くなりたい、っていうところで、ようやっと麗奈とほんとうの意味でわかりあえたのではないかということを、この話数を通じて描いていたように感じました。
 麗奈が鼻血を出すようなみっともない姿を晒していたのかはわかりませんが……。

 ただ久美子は、こういうみっともない姿を描くことで、それまでの彼女とは違ってきてることを見せてくれたのが良かったと思います。そして、ほぼ恋人である麗奈と同じような高みに立って同じ次元の悩みを共有したい、的なところも描いていたように感じました。結局、パートから外されて落ち込むものの、滝先生から後からフォローしてもらって前に進めるようになったっていうシナリオそのものも、ご都合感もなく、かつ観ている方としても何処かすっきりとさせられた良い脚本だったのではないかとも思いました。


この麗奈、おっぱい強調しすぎでしょ。。

※参考
『響け!ユーフォニアム』の主人公 黄前久美子はこんなにも面白い主人公だ」(ブログでの過去記事)

■夏

脚本:吉田玲子 絵コンテ・演出:澤井幸次

 のんのんびよりは2期も非常に良いエピソードが多くて良かったですね。全体的に観ると、1期でおそらくは好評だったれんちょんの出番が多めだったような気がします。
 そんなのんのん2期からは、れんちょんがコマ無し自転車(関西では自転車につける補助輪のことを「コマ」と呼びます。これなら子どもでも言いやすい)の練習をする回を挙げたいと思います。
 何というか、れんちょんがまた1つ大人への階段を登っていくような描写がすごくいいんですよね……。それを見守りつつも、どこかさみしげな駄菓子屋との対比が、個人的にはグッと来るものがありました。

 れんちょんには異常に思い入れを持っている駄菓子屋なので、成長していく手助けが出来るのは嬉しいのでしょうけど、自分が助けてやらなくても独り立ちしていくのは複雑なのかもしれません。


れんちょんの身長が足りなくて届かないお菓子を取ってやる駄菓子屋。まだまだれんちょんに出来ないことは一杯あるんだってことを感じた瞬間だったようにも見えました。

 れんちょんがあの分校を卒業したら、駄菓子屋はどうなってしまうのかも気になってしまいました。

  • 監獄学園<プリズンスクール> 第拾話「素晴らしき尻哉、人生!」

脚本:横手美智子 絵コンテ:二瓶勇一 演出:高島大輔

 もはや完全なヒットメーカーとなってしまった水島努監督の、2015年唯一の新作テレビアニメがこの『監獄学園』でした。個人的には、今まであまり取り組んでこなかったおっぱいやらおしりなどの女体のエロについて、かなりギリギリまで攻め込んできていたような印象を受けました。
 そんな監獄学園のアニメでしたが、この話数では副会長がガクトが食べたいとリクエストしたバッタ丼のために、必死こいてバッタを捕るさまが、彼女の生真面目さを表していたのが印象的でした。

 また、理事長の「おっぱい好きなのかおしり好きなのか?」についての、もはや哲学的な問いに対してのキヨシの迷いと出した答えとかも面白かったですよね。

 何か猿的なもののケツを出されて納得してしまいました……。

脚本:横谷昌宏 絵コンテ・演出:鈴木洋平

 前述の監獄学園と同じクールかつ同じ制作会社から出てきたのがこの下セカでしたが、ひどい内容以上にこの1話の完成度は素晴らしかったですね。
 下ネタにつながるようなワードを口にするだけでも取り締まられるという、ある意味ではサイコパスのようなディストピア的な世界観でありながら、そこに真っ向なら反抗しようと言う「雪原の青」の下ネタテロで立ち向かっていく様が、この1話だけでもすごくわかりやすく描かれていたように感じました。
 また、現在のアニメでの表現規制的なところへも大胆に踏み込んでいたようにも感じましたし、声優さんの演技とともに非常に攻めてるなと感じた1話だったようにも思いました。


ハエの交尾シーンなら映像的にはダメと言えないよな……w

 作品の世界観とか、この作品の何処を観れば良いのかとか、そういうのが全部詰まっていて、それを描き切っているという意味では『これはゾンビですか?』の1話相当の濃密さと、1話での完成度の高さを感じました。

■秋

脚本:鈴木智尋 絵コンテ・演出:夏目真悟

 割と評判のいいワンパンマンですが、個人的には過去のアクションが映えるアニメのオマージュ以外にさほど見どころがなくって、早々に醒めてしまいました。
 ただこの1話は見応えがあって、どうワンパンマンが出来上がっていったのかが、1話の尺の中で濃密に描かれていたと思います。ワンパンマンのワンパンチの強烈さも、こういうカットですごく良く表現されていましたよね。

 アニメーションとしては非常に見応えがあったと思いました。

脚本:ふでやすかずゆき 絵コンテ・演出:博史池畠

 あまり1期には思い入れが出来なかったごちうさでしたが、キネマシトラスが制作にガッツリ加わってくれたからか、個人的にはすごく良さを感じました。
 中でも強調したい回はこのモカ姉回でしょう。ただただ、素晴らしかったですね。

 じょしらくの最終回でもあった新キャラ投入でのキャラ崩壊回でもあったのですが、でも逆に、モカ姉の投入でココアとか既存のキャラの強さがより強化されたような回にも見えましたね。


事案ですかね……。

脚本:田中仁 絵コンテ:黒田成美 演出:岩井隆央 作画監督:爲我井克美

 今年のプリキュアですが、基本的には良かったですね。中でも、割と定番化してる黄色いプリキュアに対しての力の入れようは、キュアトゥインクルの変身バンクを担当した作画監督の爲我井克美さんが担当したから……なのかどうかはわかりませんが、とにかく作画が凄かったですね。
 そんなきらら回でしたが……。

 すんごい作画でした。作画が良かっただけじゃなく、きららがモデルとプリキュアの両立に悩むような回でもありましたけど、そこも非常に良く描けていましたよね。もともと変身バンクがモデルポーズっぽかったのもありますけども。


このカットとか、おっぱいの感じもあって極上ですよね……。

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 久々の話数単位の記事でしたが、楽しんでいただけていれば幸いです。

(関連)
新米小僧の見習日記
※話数単位のページをまとめていらっしゃってます。

・2015年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。

 このルールを決めたのは新米小僧さんですね。
「話数単位で選ぶ、2012年テレビアニメ十選」
(ブログの過去記事)

ここさけ(心が叫びたがっているんだ)ラジオの告知(12/12 22時〜)

 『心が叫びたがっているんだ。(ここさけ)』のラジオに参加します。

 どらトラさん(@dragonsnow1992)が冬コミで出す予定のここさけ評論本の告知を兼ねたラジオに、僕ことりきおも参加することになりました。もう一人の参加者は群馬仁さん(@Gunmajin_puff)です。
 引用したどらトラさんのツイートにも書かれていますが、

■12月12日(土)22時〜
■場所:どらトラのひとりよがりラジオ

 です。
 『ここさけ』に興味がある方は、どうぞよろしくお願いします。

ガールズ&パンツァーなどに観る、アニメの聖地巡礼と、発生する様々な経済効果

 大洗で先日行われた、「大洗あんこう祭」の人出が11万人と過去最高を記録したそうです。その大洗といえば茨城県大洗町のことですが、もちろん11月末に劇場版が公開されたアニメ『ガールズ&パンツァー』(以下ガルパン)の部隊となった町です。このあんこう祭りそのものはガルパン以前から存在してたようなのですが、ガルパン放送以前から以後では人出が一説によると5倍以上になったという話もあります(ガルパン以前は2万人前後が、ガルパン放送と同時期には6万人、その次の年からは3年連続で10万人超え)。すさまじい聖地巡礼者の数がおわかりいただけるかと思いますが、その中から経済効果として表れそうな部分はどのあたりにあるのだろうか、と考えてしまいます。具体的な数字は出されていないと思いますし、それはこちらでもわかりようがないのですが、どういうところに経済効果が出そうなのかを観ていこうかと思います。
 

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  • 交通

 まずはガルパンのファンが大洗に何で来るか、という部分から経済効果が期待できそうです。自家用車で来た場合、駐車料金くらいしか効果は期待できませんが、基本的に無料のようなのであまり地元にとっては美味しい話では無さそうです。ただ、公共の交通機関で来場した場合、大洗への大動脈となる鹿島臨海鉄道の料金として地元にお金が落ちることになります。アニメの地元、と限定すればこんなところですが、自家用車で行く場合も鉄道やバスで行く場合でも、ガルパンがやってなければ動くはずのなかったお金がガソリン代や高速代、JRやバスのチケット代として落ちることになるわけですから、それも経済効果ということになります。まあ、本当なら別の場所に旅行していた人が、ガルパンを観てハマったがために大洗への旅行に切り替えた、なんてこともあるかもしれませんが。

  • お土産

 聖地巡礼と経済効果とで思いつく……と言うよりは、旅行でお金を落とすといえば真っ先に思いつくもの、お土産です。
 大洗では、「大洗まいわい市場」という地元で運営されている道の駅みたいな物産館があるのですが、そこで売られている特産品の種類がものすごいのです。しかも、茨城県内の他地域(水戸など)生産のものもまずまず多いのですが、地元の大洗で作られているものだけでも相当な数で、それらだけでもついつい買ってしまうのではないかと思います。
 しかも、ガルパン人気に便乗して、地元商店の方でも把握できないくらいに新商品が開発されていて、もう何でもあり状態になっています(すべてのガルパン関連商品は審査されていて、認可されたものだけが発売されているようですが)。出ているものを全部買ったら、間違いなく持って帰れません。というかお金も足りないと思います。そんなわけですから、大洗に来たガルパンファンは、あんこう祭りなどのイベント時だけでなく平時に来たとしても、それなりにお土産やグッズを買って帰るのではないかと思うわけです。

 ガルパン以外のアニメでも、舞台となった街や地域が特産品の多い観光地な場合は、聖地巡礼ついでにお土産も買って帰る人も出てくるのかなと思います。ですが、作中で地元の特産品が登場しなかったり、そもそも風景だけが使われたりしたような使われ方をした聖地となると、地元=聖地とはならなかったり、作品とお土産が結びつかずお土産需要が喚起されない場合もあります。そもそも舞台が観光地的な土地や地域でない場合はお土産らしいお土産すら無いケースもあるでしょう。そういう作品だと、大ヒットして聖地と呼べる場所があってファンが集ったとしても、お土産的なものによる経済効果が発生しないということにもなってしまいます。

  • 食事

 お土産に近いものになりますが、食事というのも重要な経済効果を生む要素の一つだと思います。宿泊が発生するような遠方が舞台の場合には間違いなく食事でお金を使うことになるわけですが、日帰りだったとしても昼食くらいは現地で済ませようとするものではないかと思います。
 その意味では、大洗は優秀です。元々海産物の直売所やあんこう汁が食べられるお店がありますし、ちょっとした立ち食い出来るものもあったりします。ガルパン聖地巡礼するファン向けに、作中で登場した串かつを販売したりもしていますし、アニメキャラと同じものが食べられるとあれば、より食事にも積極的に支出するのではないかとも思います。もちろん名物はあんこう鍋ですが、現地には1人前から出してくれるお店がありますので、1人で行っても堪能できると思います。ガルパンのように、アニメの作中で積極的に食事風景を描くような内容だと、それを食べられるお店も聖地にあれば、お土産と同じく手が出やすいのではないかとも思います。
 逆に、お土産やグッズ的なものが売っていない聖地というのは、それでお金が落ちる可能性がなくなってしまうことにもなりかねません。『けいおん!』で学校のモデルとして使われた滋賀県豊郷小学校旧校舎群は、聖地巡礼先としても非常に人気の高いスポットでした。ただ、けいおんの放送終了直後に来訪した時(2009年)には、日曜日だと近江鉄道豊郷駅から豊郷小までの道中にお店すら1軒もなく、お金を使おうにも自販機くらいしかありませんでした。その後、現地限定のグッズを売るところやカフェが開設されたという話はありましたが、けいおんの場合はあくまでも学校そのものがアニメで使われただけで、その地域がアニメのモデルになったわけでもなかったので、相乗効果みたいなものが生まれにくいという事情もあったように思いますし、現地に元々お店が少ないとなると出来ることも限られてくるというのもあったのではないかと考えています。
 『たまこまーけっと』だと舞台が現実に存在する商店街だったわけですが、主人公のたまこが買い食いしていたお店が相次いで閉店してしまうという世知辛い話もありました。たまこのお店のモデルである「出町ふたば」は、アニメのモデルとか関係なく常に行列が出来るような人気店でもあり、経済効果としてどのくらい寄与したのか……と考えてしまいます。
 また、あまりに都市圏から近い場所だとすると、必ずしも現地で食事を取る必要性もなくなってしまいます。そうなってしまうと、聖地巡礼での食事代という経済効果は発生しないということにもなってしまうのではないかと思います。

  • 宿泊

 最も大きな経済効果として期待されるのが宿泊です。宿泊の場合、宿泊費用のみならず晩御飯の費用も落ちることになり、経済効果としては絶大なものがあります。ガルパンの大洗だと、首都圏からであれば日帰りでも行ける距離ということで、宿泊してまで聖地巡礼する人は少数かなとも思いますが、ゆっくり回りたいと考えると宿泊するのではないでしょうか。例の旅館含め、大洗町内にも複数の宿泊施設がありますが、お隣の水戸市も含めると泊まるところには困らないかと思います。
 首都圏や関西圏など多くの人口を抱える都市圏から日帰りで行けないようなところに聖地がある場合だと、聖地巡礼するには宿泊がセットになります。例えば『氷菓』の飛騨高山だとか『花咲くいろは』の金沢だとかは、日帰りではなく宿泊することになるのかと思います。なので現地でお祭りやイベントなどをする場合に集まるファンは、皆が現地近くのどこかに泊まるわけです。そう考えると、大洗など首都圏から日帰りで行けるようなところの祭りでの一人あたりの支出額と、高山や金沢などでの支出額では桁が違うものになると推測されます。なので、純粋に祭り等での来場者数に差があったとしても、一人あたりの経済効果はかなり違ってくるのではないかと考えています。花咲くいろはの舞台である金沢・湯涌温泉で開催されている「湯涌ぼんぼり祭り」の2014年の来場者数は1万2000人だったそうです。大洗のあんこう祭りの11万人と比較すると10分の1くらいになってしまうわけですが、ぼんぼり祭りは首都圏など遠方からの来場者の多くが宿泊もセットだと考えると、大洗のあんこう祭りと比較して経済効果が来場者の差ほど小さくはない、のではないかと考えています。

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 色々と挙げてみましたが、まだ他にも何かありそうですかね。聖地関係以外にアニメで起こる経済効果……と考えるとまだ色々と思いつくものがあるわけですが、舞台となる地域などで起こる経済効果としたらこのくらいかなと思います。
 まあ、ガルパンがもたらした聖地への経済効果が凄い! っていう記事になってしまいましたけど、あれだけご当地を生かしつつもヒットしたアニメ、となるとなかなか無いのもあるんですよね。『ヤマノススメ』や『ろこどる』あたりも聖地巡礼で活況を呈したらしいのですけど、聖地が東京から近すぎるとかでなかなか思うような経済効果には繋がっていないように感じます。これだけ聖地への経済効果が上手く働いたアニメはガルパンが一番ではないかと思っています。
 もちろんガルパンは、アニメがヒットしたからこその聖地への経済効果なわけですから、聖地ありきではなくアニメの面白さを優先して作って欲しいと思います。ただ、あわよくば町おこし的な盛り上がり方もセットに出来たら最高だな……と思いますが、その辺のバランス感覚はなかなか難しそうですね。

鉄血やここさけなど、長井龍雪監督アニメのヒロインにおける「乳差」の持つ意味とおっぱいへ込めたこだわりとは?

 映画「心が叫びたがっているんだ(ここさけ)」は公開初日に観に行きましたがすごく面白かったです。主人公の成瀬順ちゃんにべた惚れしてしまいまして、次の週にあった水瀬いのりさとんの舞台挨拶回にも行ってしまいました。なかなか複数回観に行く映画も個人的には無いので、自分の中での当たり具合の大きさがうかがい知れると思います。
 また今期アニメである「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」も面白いですね。うちの読者の方ならわかるように、普段はさほどロボットアニメは観ないですし、ガンダムもここ最近のものについては序盤で見なくなる傾向が続いていましたが、この鉄血については3話まで観た時点で最後まで観るしか無いって思えるくらいにはハマっています。
 さて、何故この2作品を並べて書いたのかと言えば、どちらも長井龍雪監督&脚本/シリーズ構成が岡田麿里さんというアニメなんですよね。重なるような時期に公開されたこれらのアニメですが、かたや青春もの、かたやロボットものですから、どちらにもハマるとは思えなかったので意外に思いつつも、この2人がタッグを組むアニメの面白さについての安心感とか、必ず見どころがある感じだとか、やはりすごいコンビなんだなあ、と感心しきりです。
 さて表題の件になりますが、特に長井監督のオリジナルアニメで必ず見かけるのが、おっぱいの大きい(スタイルの良い)ヒロインとそうでないヒロインが相対することです。ここさけについてはおっぱい表現をキャラデザ段階で除外してしまっているので乳差ではないのですが、身長差やイメージとしてのスタイルの差からやはり同じような相対するヒロインとなっています。
 ちなみに、長井監督ではなく「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない(あの花)」や「あの夏で待ってる(なつまち)」のキャラクターデザインである田中将賀さんが主犯人か?(主におっぱい星人的な意味で)と思っていたのですが、その田中さんがキャラデザだったここさけではおっぱい表現がなく、田中さんがキャラデザではない鉄血では思いっきり乳差を描いていることから、ヒロインのおっぱいにこだわりがより強いのは長井監督のほうではないかと今では考えています。
 では、僕が観た(観ている)長井監督のオリジナルアニメ4作品から、ヒロインの乳差に込められたものについて考えてみたいと思います。

 言うまでもなく、あなること安城鳴子と、めんまこと本間芽衣子ですね。まあ、あなるは生きてますしめんまは死んでるので何ともいえないところもあるのですが、あなるの幼少期にはメガネかけてたりしてすごく地味な女の子だった、というあたりからのおっぱいキャラ化ってあたりがポイントなのかもしれません。
 あなるは、地味だった女の子がおっぱいの成長とともにイメチェンしたというか、じんたんこと宿海仁太にアプローチをかけていく感じなのかなとも思っています。というか、幼少期ではどう観てもめんまのほうが可愛いし、クォーターということもあり垢抜けたものもあるしで全く勝ち目が無かったのが、主におっぱいの成長的で魅力がプラスされたような印象も受けました。

 一方でめんまは、死んでるというのもあるのですが、そこから多少は成長した姿で出てきているわけです。でもおっぱいその他の成長はなく、あくまでも幼いままです。個人的には、皆と同じスピードで成長してきているわけではない、という意味も含めての胸の成長の無さなのかな、と考えています。というのも、めんまの母親は結構おっぱいあるっぽいんですよね。なので、めんまは死んでて母親みたいにはもうなれないし、そんな成長した彼女は想像できないってところからのあのキャラデザなのかなとも思いました。

 この作品はとにかくわかりやすいですよね。『おねがい☆ツインズ』や『おねがい☆ティーチャー』などの流れをくむ作品でもありますから、当然おっぱい的な要素はキャラ原案からも引き継がれている……のだとしても、非常におっぱいの大小をわかりやすい形で相対するヒロインに落とし込んでいたのではないかと思いました。
 というのも、イチカ先輩こと貴月イチカは宇宙人ですし、異世界から長野の田舎に降り立った異色の存在でもあります。

 逆に谷川柑菜ちゃんはイチカよりは友人歴が長いですが、あくまでも地元出身の女の子という感じなのではないでしょうか。彼女を貧乳と呼ぶにはちょっとアレなくらいにはおっぱいはあるように見えますが(でもスリーサイズの設定を観るとB73とあるので貧乳キャラなのでしょう)、ショートカットでボーイッシュな感じなので、あまり女らしくは見えないように感じますし、海人には女性として観られていないことの示唆もあるのかもしれませんね。

 作品内ではグループ恋愛みたいになって、イチカと海人、美桜と哲朗がくっつくような感じになり、柑菜は海人に振られてしまいましたので、結果的には柑菜は圧倒的な負け組になってしまうというので、貧乳キャラの圧倒的敗北と感じてしまいます。檸檬先輩も恋愛とは無縁でもありましたしね。
 ここのシーンなんか、美桜が自らのおっぱいを武器に哲朗を落としにかかってますからね。女の子のおっぱいは武器なんだ、というのを演出込みで描いた懇親のシーンだったと思います。

※参考『「あの夏で待ってる」10話のおっぱい押し付け演出が見せた意味と意図とは
(当ブログの過去記事)

  • 心が叫びたがっているんだ

 この作品においては、前述のとおりキャラデザ段階からまるで最近のプリキュアくらいにおっぱいを捨てたデザインになっていて、おっぱいがどうこうとか乳差については語れません。ですが、キャラ設定や背の高さ(低さ)においては明確に差をつけているのではないか、とも考えられます。
 主人公の順は華奢な感じでかつ、背が低いんですよね。クラス内でも一番くらい低い設定で、とりわけその小ささを際立たせたかったような感じになっているように思いました。
 拓実に対しては恋敵のような存在にもなった菜月は、クラスのマドンナ的な存在のようですし、何よりチアリーディング部の部長という設定が、スタイル抜群なんじゃないかというイメージにさせてくれます。


キャラデザでおっぱい表現を除外したと書いてしまいましたが、このキービジュアル観ると、菜月にはちゃんとおっぱいがあるというか、こういう制服だとあまりおっぱいが目立たないから本編でも無理には目立たせなかった、という風にも取れそうですね。

 結果的にはやはりというか、ちんちくりんなほうが失恋してしまうという展開になり、男主人公的なキャラがスタイルの良いほうのヒロインとくっついてしまうという「いつもの」展開になってしまったという……。大樹がいますし別に順が不遇なヒロインになっているわけでもないのですが、何となく長井監督の男主人公キャラはスタイルの良いほうのヒロインにハマるものなのか、と考えてしまいました。

「心が叫びたがってるんだ。」オリジナルサウンドトラック

「心が叫びたがってるんだ。」オリジナルサウンドトラック

 ここまで来て言いたいことはたぶんわかるかと思いますが、もちろんクーデリアとアトラとの比較ですよね。クーデリアのおっぱいと全体的なスタイルの良さと、アトラの貧乳というかナイチチっぷりというかちびっ子っぷりというか。年齢設定的には差があるのかどうかわからないのですが、強烈な差として描かれています。境遇の違いから考えると、良家出身のクーデリアと庶民のアトラという違いを身長差や乳差を用いて描いているようにも感じます。まさに格差社会ですね。


クーデリアさん、ただでさえ白Tでもおっぱい目立つのに、さらにおっぱいが強調されるボーダーも着るだなんて結構あざとい。


逆にアトラはだぼだぼの服を着ていて、これでは本当のところ体型はわからないけどたぶん色々と小さい。

 となると、ここから先のヒロイン対決がどうなるかですが、今までの長井作品の傾向から考えると、三日月はクーデリアとくっついてアトラちゃん涙目展開しか考えられないということになります。三日月もちんちくりんなので、長井作品からすると「なつまち」っぽい感じの凸凹カップルになりそうなイメージがあります。そういえば「なつまち」のイチカも宇宙人とかで別世界のヒロインキャラでしたね。

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 と、4作品観てきましたが、長井龍雪監督のヒロインキャラへのスタイルに強いこだわりを持っていることをわかってもらえたのではないかと思います。特におっぱいに対するこだわりは、個人的にはおっぱいアニメ監督として有名な金子ひらくさんよりも強いというか、それを設定や属性のみにとどまらせない用い方をしている稀有な方なのではないかとさえ考えています。
 とりあえずは鉄血のオルフェンズの両ヒロイン(?)がどうなるか、楽しみに見ていきたいと思います。

「何かを待っている」「夕暮れから夜明け前」を描いている?〜Charlotte(シャーロット)の友利奈緒がひとりぼっちなエンディングの考察

 アニメでは、例え動かない演出だったとしても、オープニング(OP)よりもエンディング(ED)のほうが好きです。
 さて、Charlotte(シャーロット)はOPの演出や映像の密度がすごくってそちらに目が行きがちというか、考察等もさかんに行われているような気がしますが、個人的には友利奈緒がひとりぼっちなEDのほうに引き込まれました。
 絵コンテ・演出は同じP.A.WORKSのオリジナルアニメ『凪のあすから』の監督や『SHIROBAKO』のアンデスチャッキー回の演出を手がけた篠原俊哉さんなんですが、動かないEDの演出もさすがの一言だと思います(まあ背景美術が異常なこともありますけども)。
 そこで今回は、そんなCharlotteのEDをワンカットずつ見ていきながら見えてくるものを書いていきたいと思います。


 最初のカットです。校門付近とおぼしきところで、友利ちゃんがフーセンガムをふくらませながら待っているところです。
 彼女がなぜ「待っている」と感じるのかは自分でもよくわかりませんが、柱にもたれてるような格好で立っているところや、ガムふくらませているあたりに、それなりに長い時間ここで誰かを待っているような雰囲気がしてきます。


 場所はわかりませんが、商店街にあるバス停でおそらくバスを待っているものと思われます。このバス停が本編で出てきたのかはちょっと覚えていないのですが……。


 場所は変わって星空がよく見えるところです。ポッキーくわえてますね。



 恐らくはさきほどのポッキーのカットと同じ場所でしょう。街を一望出来るような小高い丘の上に友利ちゃんが1人で佇んでいるようです。垂れ下がった音楽プレーヤーをちょっと不機嫌そうな表情で観ているように見えます。
 というか、こんなところで1人で何をしているんだ友利ちゃん……! という感じでもありますが。あと、彼女が大好きなはずの「ZHIEND」の曲を聴いているにも関わらず、それを流してくれている音楽プレーヤーをこんな感じにしてるのは何故なのでしょうか? ちょっと気になるところです。


 そしてりんごをかじりながら星空を見上げています。先ほどのカットもそうでしたが、星空を連写してるかのような描き方をしていますよね。これはバスを待っているところのカットの人間の残像とも近いのですが、その場所に長くとどまっていることの示唆なのかなあと考えています。ちなみに、星空の中心で動いていない星がありますが、あれは北の方角から動かない北極星なんでしょうか。
 りんごに関しては、アニメで多く登場する果物という印象でもあるのですが、天体を取り上げているところからの繋がりで出ているのかなとも思います。ただポッキーにりんご、そして乙坂がカラオケ店で食ってたピザにゲーセンとかで食べてた団子と、某魔法少女アニメでひたすら何かを食べてた子が食べてたものが登場してますね。


 最後のカットです。
 ひときわ光る星に向かって友利ちゃんが駆け出していくところですかね。非常に幻想的でグラデーションかかった空が素晴らしいわけですが、気になるのが空の色です。ちょっと明るいんですよね。
 最初のカットから続けて見ていくとわかるのですが、

昼下がり→夕方→夜……→夜明け前

 になっているように見えませんか? 最初のカットでは校舎に反射してる太陽の光の角度が夕方に差し掛かる時間帯であることを示してくれているようにも見えますしね。ということで、最後のカットは夜明け前に友利ちゃんが明けの明星を見つけて駆け出していくシーン……ではないかなあと考えています。
 つまりこのEDの一連のカットは、友利ちゃんが放課後に学校から出てどこかの小高い丘(ってレベルじゃない高さですが……)に行って、そこで一夜を明かす……という感じなんじゃないかと考えています。そのこと自体に意味を見出すことは難しいのですが、何かを待っているカットが3枚くらいあるのがヒントになるような気がします。
 そこで思い出すのが、シャーロットの最初に出てきたビジュアルにあったこのテキストです。

 「約束、帰ってくること。」とありますが、これが友利ちゃんのセリフとかモノローグなのだとすると、彼女が何かを待ってるという示唆になるように思います。
 そう考えるとEDの一連のカットがつながってくる気がします。友利ちゃんはその都度何かを待っていて、それでも来ないから約束の場所へ1人で訪れる。でも結局待ち人は来ないから1人で朝を待ち、明けの明星が出てきたらまた新しい1日へ向かって駆け出していく……という感じなのではないかと観ています。
 具体的に何を待っているのかとか、そこと乙坂がどう絡んでいくのかは全くわかりませんが、とりあえず僕がEDから読み取れるのはこんなところです。

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 とまあ書いてみましたが、考察というにはちと結論が出なかった感じではあります。とはいえ、非常に内容の濃ゆそうなEDになっていると思いますので、ここからさらに何かを見出して、結末への足がかりとなれば幸いです。