リトルバスターズ!考察〜棗恭介の真の目的とは?

 リトバスの主役と言うか、虚構世界の創生主は、間違いなく恭介です。その恭介が「虚構世界」というものを作ってまでやりたかったことはいったい何だったんでしょうか?
 もちろん、理樹と鈴を救いたかった、と10人中9人くらいの人は言うでしょう。ただ僕が疑問に思っているのは、本当に、
 『理樹と鈴』
 だったのかどうか? です。
 虚構世界を波紋として構成している人間は、皆がその世界に未練を残した状態だったりします。恭介や真人、謙吾は、理樹たちと遊んで過ごした日常やその世界に対しての未練がありました。ヒロインたちに関しては、葉留佳は佳奈多や家のことが清算できていない、クドは祖国に帰らなかったことに対しての後悔、美魚は美鳥に対しての負い目…とそれぞれあります。小毬と来ヶ谷に関してはちょっと違うのですが。
 でもじゃあ、何でこれらのヒロインたちと世界を作り上げたのか(あるいは世界に参加させたのか)? 単に理樹の成長のためだったのか? そこの辺に大いに疑問を抱いているわけなのです。
 そもそも理樹の成長のためだけに、これだけのヒロインを世界に参加させたのだとすると、ヒロインたちは自らが犠牲になることを知ってまで、理樹とくっつく夢を見たり、虚構世界だけれど自分の後悔や未練を断ち切ったりしたのかなあって。かなり疑問に思うので。
 何が言いたいのかと言うと、恭介は『鈴だけを助けたかった』のではないかということです。
 
 つまるところは、鈴を助けるためには理樹が必要で、だからこそ理樹も助けたのかなあ、とか思いました。
 そもそも恭介は、鈴の成長のためだけにミッションを組んでいたわけです。そこには理樹もいて、理樹と一緒にミッションをクリアしていくわけですが、最後のミッションとして恭介は鈴に対し、理樹から離れ一人で立ち向かわせようとします。ここでは、理樹の成長とは全く関係ありません。理樹にも鈴離れをさせる、という意味があったともとれますが、逆に鈴に一人立ちさせたかった、と捉えるほうが近いような気がするわけです。
 鈴に一人立ちさせる…。その意味は何でしょうか?
 それは、バスの事故の際に、一人でその状況に立ち向かい、そして脱出する、あるいは取り乱さずに行動する、という意味では無いのでしょうか? 例え理樹がいなくとも
 恭介は、二度、理樹と鈴を引き離そうとします。一つは交換留学生のとき、そしてもう一つは田舎暮らしの最後のシーンです。交換留学生の時には、いったん恭介が妥協して(鈴と理樹に対して)戻しますが、田舎暮らしの際は問答無用で引き離そうとします。
 ちなみに、交換留学生の話も田舎暮らしも、しょせんは恭介が作り上げた幻の舞台だと思うので、そこは意のままに操れるんでしょう。恭介の記憶とか想像とかを構成して。ですから、田舎暮らしの最後のシーンで、誰かが踏み込んでくるシーンがありますが、あれも恭介の差し金なんでしょう。世界を終わらせるためか、あるいはまた鈴を試そうとしたのかのかもしれないのですが。
 このシーンまでが、恭介がある程度想定していた「虚構世界で鈴を成長させる」ためのプログラムというかストーリーだったと思うんですが、それ以降は、鈴があんな状態になってしまったことや、理樹が予想以上に成長していた(鈴に対しての影響力は、既に兄である恭介を遥かに上回っていたことなど)ことなど想定外のことが多すぎたため、参考になりません。それ以降は明らかに、理樹に鈴を託すための、あるいは鈴と理樹の絆を深めさせるための動きをしていましたけどね。
 恭介が、理樹が鈴と付き合ってくれたらいい、みたいな発言をしていましたが、あれはある部分では間違っていないんでしょうね。ただ恭介は、すぐに眠り病(ナルコレプシー)で落ちてしまう理樹のことも知っているわけで、バス事故の時でも、もし理樹がそうなってしまえば(恐らくはなるだろうから?)、理樹にも鈴のことは助けられない(任せられない)と思っていたんじゃないかと。
 そういう風に考えると、恭介はやはり、重度のシスコンだと思うわけですがどうでしょうか(台無し)。