ストーリー重視のギャルゲーの原点は、ToHeartではなくONEではないか?

 タイトルが長すぎる…。
 今の時代、ストーリーがしょぼいギャルゲーは売れないわけですが、そもそもこの流れを作ったゲームって何だろう?と思ったときに、真っ先に挙げられるのがToHeartなどの葉っぱノベルゲームです。
 確かに、雫・痕ではストーリー性が重視され、とある事件と主人公・ヒロインが時に浅く、時に深く関わっていき、最終的にはくっついたりするわけですが。ただ、雫も痕も、恋愛が主目的ではありませんでした。どちらかと言うと、大本の事件の謎を追うほう(一部巻き込まれたハナシもありましたけどね)が強かったように思います。
 その意味では、ToHeartの意味は大きかったでしょう。恋愛が主目的ながら、ノベル形式でストーリーを進行させていったため、主人公とヒロインたちの話をより深く掘り下げることになり、結果としては大成功に終わり、その後類似した、あるいは踏み台にしたような作品がたくさん出てくることになります。
 ただ、THも「ノベル形式」の表示方法ではあったものの、純粋にノベルとして楽しめたわけではなく、従来型のエンカウント式恋愛アドベンチャーの延長線上にあったものでした。
 そんな中で登場したのが、「ONE〜輝く季節へ」でした。説明するまでもなく、現Keyスタッフの出世作なわけですが、この作品は、痕までの良いところと、THの良いところを上手くミックスさせて消化したって感じがしました。
 と言うのは、文章はほぼノベルと言って良いほどのテキストの内容と濃さで、かつヒロインと主人公の話に終始している…。まあ「恋愛メイン」かどうかはわかりませんが、その後のKey作品と比較すると遥かに恋愛要素が大きいわけです。それに、エンカウントなどの余計な要素はありませんので、ルートに入れば、テキストオンリーのまさにノベルを読む感覚でストーリーを進めることが出来たわけですから。THと比較しても、よりストーリー性を高め、さらに恋愛要素をメインに据えた、と。
 このONE以降、ギャルゲーで、女の子と会うためのエンカウント要素を常に持っている作品は減ったと思うんで。まああるんですけどね。
 ただ、恋愛要素重視と、ストーリー重視のギャルゲーと言うのは、このONEから始まったような、そんな気がするのです。