Leafは何時まで過去の遺産を食い潰すのか?

 WHITEALBUMの、いまさら感のするコンシューマ移植&メディア展開を見ていて、リーフは本気で危ないんじゃないかと思うようになって来ました。
 と言うのは、ここ数年のリーフの戦略は、完全に「過去の遺産に頼りきり」な展開でしたから。それがついにWHITEALBUMにまで及んだのか、と言う感じなので。ほぼ10年近く何も手をつけられない(ライターが逃亡したために手がつけられなかった?)作品に今さら、という感じがするのです。
 そもそもリーフの最近の作品でヒットしたものは、過去の遺産にしがみついたものばかりです。「ToHeart2」シリーズだってそうです。TH2自身が「ToHeart」という過去の大ヒット作から、舞台設定や音楽、システムに一部のキャラ(メイドロボなどの設定)を流用し、ほのぼのかつまったりとした雰囲気もある程度までは使いまわしていましたし。ただ、当時のライター陣は一人としておらず、前作の、ほのぼのまったりでもメリハリの効いた展開とは程遠いような、ダラっとした展開が多かったような気がしました。
 その後の「TH2X」「TH2AD」は、表向きとしては「ユーザーの強い要望に応えた」と言うことになっていますが、それこそ流用の連続ですよね。オリジナルタイトルを企画開発するのに比べると、断然時間もコストも掛からないし、リターンも確実に見込めるわけで。曲芸と違って、X-Ratedではエロ追加にとどまらず新キャラ追加など、オリジナルをプレイした人でも楽しめるつくりにはなってましたし、AnotherDaysでは舞台やキャラの流用はあれど、攻略キャラは一新されていてほぼ新作同然になっていたわけですから。でも逆に考えると、舞台設定とかは流用しているわけで、さながらテーマパークのアトラクションを入れ替えただけ、とも言えるわけです。
 「Routes」と言う作品もあります。これはオリジナルタイトルですが、「ToHeart」以後使われることの無かった「リーフビジュアルノベルシリーズ」という看板を背負わせてのリリースでしたから、過去の栄光にすがろうとした面がミエミエなわけで。
 しかしながらLeafのオリジナル作品は、ことごとくヒットしていません。僕が最後にプレイした「まじかる☆アンティーク」以降の売り上げで見ると、「誰彼」は売れたのですが評価は最悪(そこから凋落が始まったのかもしれませんけどね)、「うたわれるもの」「天使のいない12月」などの東京開発室の作品は、安定しているものの爆発的には売れていない(注:5,6万本売れているので、ヒットしたとも言えますが、10万本にはかなり遠い数字と言うことで、他の大手有名どころに比べると物足りない数字かな、と。TH2との比較でも)。「フルアニ」は大コケでしたし。
 大阪開発室のはもっと悲惨。「Routes」も「Tears to Tiara」も、普通に考えるとコンシューマ移植なんて考えられないような売れ方しかしていません。「鎖 -クサリ-」とかは、既にLeafの作品としては抹消されているような扱いですし。
 こういう流れですから、正直「TH2」の爆発的なヒット自体が意外だったんですけど(汗)、ヒットメーカーと呼ぶには程遠い状態が続いています。なので、過去作品のリメイクや派生作品が増えてしまうのかもしれません。
 TH2ADという、THシリーズでは最後の弾を撃ってしまった以上、遺された弾はそれほど無いでしょう。まじかるアンティークを今さらリニューアルするとも思えませんから、WHITEALBUMの移植もわからないではありません。それ以外なら、TH3かTHのリニューアルくらいしか…。
 今のLeafには何が足りないんでしょうか? 僕としては、カリスマ的な企画者の不在が大きいような気がします。企画段階で面白いものが浮かばなければ、いくら構成するライター陣が優秀でも評価されませんから。Keyを見ればわかるでしょう。企画者がしっかりしているからこそ、オリジナルタイトルが毎回売れて評価されるわけです。Leafでは、ゲームの種別からして迷走しているような気がしますし、ブランド買いしようにしても、ゲームによっての傾向があまりに違いすぎるために、追えないんですよね。Leafと言えば?!という一貫したものが全く無い。世がビジュアルノベル全盛になった時も、何故かSLGに走ったりして、ビジュアルノベル先駆者としての地位を簡単に明け渡したりしてましたから。経営者の手腕の問題かもしれません。
 よって、今のLeafはかなり脆弱な土台にいるように思います。それこそ、WAがヒットしなければ危ないくらいに。元Keyの涼元氏がリーフにいるみたいですが、氏の新作が世に出てくるまで持つかどうか...