現在の二次創作が流行るジャンルを見れば、ギャルゲ・エロゲは同人の主要ジャンルにはなりえないと思う

http://blog.livedoor.jp/seki_fujiki/archives/248702.html(緑玉板2.0)
 「売れるエロゲーは『ユーザーが参加する』 」という元記事なんですが、ラルフさんの、
http://ralf-halfmoon.jugem.jp/?eid=356Half Moon Diary)
 「二次創作が作りやすいゲームなんて、狙って作るものじゃない」の記事の一部に賛同したので。

 そもそも、緑玉板2.0さんが主張しているオーガストの同人サークルがすごいという主張ですが、もの凄い誤りです。コミケでのスペース数(100弱)は鍵や型月(300以上)には遠く及んでいませんし、オンリーイベントの数もそれほど多くありません。つまり、TH2やリトバスなどと同じくらい売れているはずのオーガストなのに、同人オタクにはそれほど受け入れられていない事実のほうが重要なのです。ちなみにコミケでの各ジャンルの当落割合は一定になるよう抽選されているようなので、鍵や型月サークルだけが優遇されているわけではありません。
 東鳩の同人人気の爆発ぶりを元記事の人は紹介していますが、これも時代錯誤もはなはだしく大間違いです。あの時代における、ドジっ子メイドロボだったり、ツンデレ委員長だったりはもの凄く新鮮で、かつギャルゲーキャラを初めて記号化の方向に持っていったという意味でヒットしたわけですから。その後、鍵がKanonで爆発して、徐々に鍵の同人人気が突出していきましたからね。その後、鍵ジャンルはAIR前後でピークを迎え、CLANNADまでの沈黙期間に壊滅的に減少するわけですが。
 それと、東鳩人気を支えたのは、もちろんエロゲの枠を超えてキャラの魅力が広がったことに違いありません。ただ、ゲームをプレイしていない人を取り込んでの人気の爆発…とはいえないのでは無いでしょうか? 東鳩は、リーフの知名度が徐々に浸透していったことや、そのタイミングでのコンシューマ版発売と金に糸目をつけないプロモーション活動(駅の通路に看板を出したりTVCMをしたりとか)とか、読めて泣けるギャルゲーと言うものの登場がもの凄く新鮮で衝撃的だったんでしょう。それと、PC版からのほぼ新作に近いくらいの大幅リメイク+豊富な追加要素を携えてましたから、エロゲユーザーも取り込んだ。コンシューマのギャルゲユーザーとエロゲユーザーの両方を取り込んだために、化学反応的に同人人気も爆発したってのが正しいところでしょう。東鳩というゲームをプレイしていない人なんて、ブームだからと言う後付の人たちでしょう。決してメインではありません。
 
 じゃあ現在ヒットしているジャンルと言えば…東方もそうですが、アイドルマスターも侮れません。そしてその両者に感じるのが「ストーリーがガッチリと固められていない」と言うことです。つまり、ストーリー性がある中での二次創作が受けているのではなく、ある程度自由度がある中での二次創作が出来る作品が求められているってことでは無いでしょうか? 少し前に流行ったキミキスも、どちらかと言えばシナリオは薄く、キャラ人気による同人人気でしたよね。
 つまりは、ストーリーがガッチリと固められている作品の同人をやりたい!という人よりも、逆にストーリーはゆるく、あるいはキャラ設定が際立った作品が強いような気がします。要は、シナリオとかは自分たちで自由に描きたいとか、より一次創作寄りの作品を出しやすい作品が同人での人気を高めているように思うのです。
 型月系も鍵も多少なりとも衰退傾向にはありますし、葉っぱもADで結構コケたんで、キャラメイクだけで人気をたもてなくなりつつあります。アニメが始まったWAが爆発的にブレイクするとも思えませんしね。これらは、キャラもいいですがストーリー性が強く、同人としての自由度は低いです。逆にがっちり固められた設定やストーリーの中から二次創作ネタを書き上げる!っていう僕みたいな人間にはすごく向いているんですが、それは主流から外れつつあるようです。
 それを如実に感じたのが、ボーカロイドシリーズだったり、擬人化ジャンルだったりします。初音ミクとか、ストーリー性なんてありませんからね。キャラ設定も、性格とかはニコニコ動画で流行った歌の傾向だったり歌詞だったりから取られた断片的なものから構成されて、同人のキャラとして形作られていきましたからね。東方だって、元はSTGでキャラ設定とか性格とかはそれほどガッチリと固められていなかったはずです。それが、同人の同人を生んで、更にキャラが形作られていく…あるいは、同じキャラなのに違う性格になっていく(ってことはあるんでしょうか?)。自由度が広いと言うか、そもそも原作に縛りが大きくないので、より同人作家が好きに書けるのかもしれません(東方ジャンルは疎いのですが)。擬人化ジャンルなんて、そもそもが二次創作みたいなものですから。

 そう考えていくと、二次創作が流行るジャンルをギャルゲやエロゲの製作者たちがコントロールできるなんてものじゃないです。そもそもギャルゲ・エロゲというジャンル自体が、二次創作しやすいジャンルから外れてきているからです。もちろん、まだまだギャルゲ系から同人人気へと繋がることはあるでしょうが、かつての葉鍵ジャンルのような爆発的なものは生まれないでしょう。シナリオを捨ててキャラだけってゲームが出るとは思えませんし(キミキススタッフの次回作「アマガミ」も、ストーリー性を強化するとか言ってましたしね)、キャラ設定すら同人作家たちでするような時代ですから、二次創作での盛り上がりを意識してのゲーム制作なんてあり得ないんじゃないかと思うのです。

 ま、そんな流行とは関係なく、僕は情熱と興味が失せるまで鍵でい続けますけどね!