高速バスに乗る前に知っておきたいことあれこれ

 この前のコミケ遠征手段のあれこれの記事を書いたのですが、意外に好評というか、ああいうことを書く人があまりいないらしいので、それに続いての「高速バス」限定でのあれこれを書きたいと思います。
 到着地については既に前回書いたとおりなので割愛するとして、次は「どういうバスがあるのか?」や、バス車内での過ごし方などについてを書きたいと思います。

  • バスのタイプ……座席配置について

 バスのタイプは大きく分けると「スタンダード」「ゆったり」「三列シート」があります。
 「スタンダード」は普通の観光バスだと考えてもらえれば良いと思います。隣にも乗客はいますし、前後の座席間隔もそれほど広いわけではありません。というかむしろ狭いです。
 「ゆったり」は、スタンダードタイプの四列シートですが、前後の座席間隔が開いているために、やや足が伸ばせるものです。ただ横幅は四列なのでほとんど変わらないと言っていいでしょう。感覚ほどはゆったりとはしていません。
 「三列シート」は文字通り三列です。なので、横幅がまあ広いわけではないかもしれませんが、乗客同士が離れるので感覚としては非常に楽になります。ただし、隣が完全に通路になるために、トイレや途中の休憩地点では隣を他の乗客が移動することがあります。そうなると、むしろ四列で窓側のほうが、隣の乗客が動かなければ寝ることに集中できる、とも取れます。この辺はバスの構造によるんですよね。
 大雑把に言えばこの三種類に大別できるわけですが、ただこれがそのままどのバスにも適用されるとは限りません。例えば座席幅であったり前後間隔などは、バス会社によって感覚的に相当違ってくると思います。つまりは、「ゆったり」であったとしても、そのバス会社のバスの中ではゆったりなのであって、他のバス会社のバスの「スタンダード」とさほど変わらないケースもあるわけです。
 三列シートにしてもやや異なります。三列だと通路は二本ずつありますが、どちらの通路も幅が同じくらいなものと、座席間隔を開けるためだけに通路がある場合、つまりは横にならないと人が通行しにくいくらいの幅しか無い通路の場合もあります。同じ三列シートでもその辺で大きな差が出てくると思います。
 感覚としては、楽天トラベルなどで運行されている安いバス会社の三列シートは、割と狭目なイメージがあります。逆に高速バスネットなどで予約できる一般のバス会社のバスは、高いだけあって座席は広い印象ですね。
 あとは運ですが、四列シートであっても、隣の席に小柄な人が座ればさほど窮屈には感じません。が、ガタイのいい人が来ると地獄です。足の長い人とかでも結構邪魔に感じることがあるので注意が必要です。出来れば、身長180cm前後くらいの人や体格のいい人には、ゆったり、もしくは三列シートにされることをおすすめします。特に横幅の広い人は、隣の乗客と密着することにもなりますので、出来れば三列シートにされることをおすすめします。背の高い人も、とにかく脚が伸ばせないのは長丁場のバスではかなり苦痛だと思いますし、脚もむくみますので、スタンダードタイプはおすすめ出来ません。

  • バスのタイプ……トイレ付きとトイレなしの違いは? トイレ休憩は?

 値段が高めのバスにはだいたいついているバスのトイレですが、中にはついていないものもあります。ついている場合とそうでない場合ではどのくらい違うのか? とか、トイレ休憩はどうなるの? などの疑問点もあると思いますが、その辺もバス会社によってまちまちです。
 トイレ付きのバスのトイレですが、二階建てバスの場合は一階の階段の下あたりにあることが多いです。二階建てじゃないバスの場合は、最後方だったり、真ん中やや後ろのケースが多いようです。ですので、トイレの真横に座席を割り振られることがあったりします(汗。ちゃんとドアが密閉されている車体だとしても、誰かが入ったり出たりするとかなり気になるのではないでしょうか? 二階建てバスの場合は、トイレと至近距離に座席があるケースはあまりありませんが、とにかくトイレが狭い。立ち上がると、身長が170cmには全く届かない僕でも頭を確実に打ちますし、便座も、体格のそれなりに良い男性や体重80kgオーバーの人とかだと、ちゃんと座れないかもしれません。。二階建てじゃないバスのトイレも狭いんですが、僕が乗った二階建てバスはどちらも驚きの狭さでした。グレードの高いバスだと広めに取られているかもしれませんが、安いバスだとトイレはかなり狭いことを覚悟しておくべきだと思います。トイレへ行くためにはバス車内を移動しなければならないわけですが、通路側だと行きやすいんですが自分が寝ているときには窓側の客に起こされる、窓側だと起こされる心配は無いものの、隣の客が寝てる場合だと気を使う、ことは覚えておきましょう。覚えててもどうしようもありませんけども(汗。
 そして、バス会社によるのですが、トイレ付きバスの場合、一部のバス会社では乗客が降りれる休憩がほとんど無いケースがあります。高速バスネットで申し込めた某私鉄系列のバスに乗ると、バス車内にトイレがあるために、降りれるのは最初のサービスエリアのみで、後は到着までバスの中に缶詰にさせられます。これは結構苦痛ですよ。身体は動かせませんし、脚はむくむ一方ですので。飲み物がなくなったり小腹が空いても、途中で調達することが出来ません。ただし、バスでガッツリ寝られる人なら逆におすすめです。休憩のたびに乗客はかなりの数が外に出るために、通路側の場合、寝ていても移動する乗客と触れて目がさめてしまうこともあるでしょう。でも、休憩の殆ど無いバスの場合なら、乗客の移動は最低限ですし、例えば他の乗客が途中で買ってきたからあげクンの匂いに邪魔されることもありませんw その辺は自身の体質と相談して決めたほうがいいでしょうね。
 ま、バスの中にトイレがあるのは非常に安心感がありますし、それこそお腹が弱い方などはトイレ付きに乗ることをおすすめしておきます。
 というのも、トイレなしのバスの場合、どことどこで休憩できるかわからないケースがあるんですよね。僕が一度経験したトイレなしバスでの地獄は、大阪・京都から乗り、多くのバスが滋賀県の多賀(名神)・土山(新名神)・(三重)あたりで最初の休憩を取ります。なので、若干お腹がやばいと思いながらもすぐに止まってくれるだろうと思って乗ってました。が、土山も通過、三重県も通過してしまい、名古屋湾岸道に入るともはやSA自体がありません。結局は、浜名湖か足柄SAまで止まってくれず、何とか持ったものの冷や汗ダラダラで生きた心地がしなかったという悪夢のような時間でした。
 関西〜東京の場合、大体が3〜4回の休憩です。滋賀県内(もしくは三重・岐阜)・愛知〜静岡で1,2回・神奈川県内(海老名SAが多い)という感じで大雑把に言えます。JRの昼行高速バスの場合、土山・浜名湖・御殿場・海老名と4回止まりましたが、このケースは割とレアかもしれません。夜行の場合は3ストップと考えたほうが良いと思います。最後の海老名SAでの休憩は、早く着きすぎた場合に時間調整で長く取られることもありますが、あまりアテにはしないほうがいいかもしれません。ただ、コンビニだけじゃなくスタバとかも早朝ですがやってますし、軽い食事も可能なので重宝しますよ。ただし、渋滞などで遅延が発生している場合は、各休憩は10分程度になってしまうこともあり、そうなるとトイレと自販機でジュースを買う程度の時間しかなくなってしまいますので、あまり計算には入れない方が良いと思います。

  • バス車内に持ち込んだほうがいいもの。持ち込まないほうがいいもの

 寝れない人限定になるかもしれませんが……。
 DSやPSPなどの携帯型ゲーム機はいいかもしれませんね。寝れない時は夜通し出来ますし、経験値稼ぎなど普段は時間がもったいないと思うような作業には適してるかと思います。ただしPSPはバッテリーがあまり持ちませんので、その対策は必要かと思いますが。電源のついてるバスはごく一部ですし。それと、隣の乗客への配慮として、画面の光がそちらに向かないようにはしておいたほうが良いでしょう。
 iPodなども役立つと思います。中にはいびきの五月蝿い乗客もいますし、かなりノイズとして気になると思いますので、耳栓替わりの音楽は有効です。もちろん耳栓でもいいのですが、完全にシャットアウトは出来ませんからね。音漏れなどには注意したほうが良いでしょうが。
 アイマスクなどはあまり必要じゃないかもしれません。多くの夜行バスでは、運転席と座席の間にカーテンがあり、外の光は入らないような構造になっているからです。24時以降は確実に消灯もされますしね。ただし、一部のバス会社(特に多客期だけ臨時で運行されているようなところ)では、そうしたカーテンがバスについておらず、高速道路の照明やら対向車のライトがモロに入ってくることがあります。後ろのほうであればあまり気にならないのですが、前の方だとかなり気になると思います。その場合はアイマスクが有効になりますね。
 逆に、パソコンやポメラなどでの原稿はかなりキツイんじゃないかと思います。夜行で四列シートであれば光や音が邪魔、というのがあるのですが、三列シートの場合でも揺れと暗さでまともにキーは叩けないと思います。この辺は新幹線とバスの大きな違いでしょうね。
 もちろん、飲み物は持ち込んだほうがいいでしょう。ただしトイレが近くなるので、乾きを潤す程度の最低限の量で十分でしょうね。ビールなどは、注意書きで飲酒自体が禁止されていることも多いのでやめておきましょう。トイレも近くなりますし汗もかきますしね。それに、泥酔者が車内で倒れたり嘔吐したりしてバスが出発できなくなったりしたケースもありましたので……。
 食べ物は、あまり匂いのキツくないものがおすすめかもしれません。パンとかおにぎりとかくらいでいいでしょう。スナック菓子とかをボリボリ食べるのは周りに迷惑ですしね。
 夏の場合なら特にかもしれませんが、上着などは持っておいたほうがいいかもしれません。案外寒いって感じることがあるかもしれませんしね。

 ウィラーという大手の高速バス会社では、無線LANが車内で使えるバスを導入しています。座席には電源もあり、夜通しPCでTwitterが出来るぜ!という感じにも見えますが、これは大きな間違いのようです。実は、消灯時間があるのでその間は使ってはいけないんですよね。そもそも高速バスの車内は相当に揺れることはさきほど触れた通りですし、PCを使うには不向きです。電源があるのは、各種モバイル機器を充電するのに非常に役立つと思いますが。
 個人的には、無線LANはあまり役立たないと思います。ネットを使うのであれば、それこそスマートフォンiPhoneなど)があれば十分でしょう。ただし新幹線とは違い、トンネル内では使えないようになっているので(運転手が使わないようにしているのか、単純に電波対策をしていないだけなのかは不明)、トンネルの多い区間では不便でしょうけども。バスに無線LANが付いている場合にどうなるのかはわかりません(汗。

  • シートベルトは必ず装着しよう

 高速バスに乗る際はシートベルトを装着しましょう。義務化されているので当然と言えば当然ですが、バスによってはもの凄いスピードで飛ばしたりしますし、事故の危険性はどれだけ安全運転していてもゼロではありません。追突などでの前後の衝撃で、ベルトをしていなければ車外に放り出される可能性は高いでしょう。車外に飛び出た場合、タダでは済まない事態になるので、キツくてもベルトをしておきましょう。なおベルトがキツイ場合は、備え付けのブランケットであったり、自分のタオルや上着などを身体とベルトの間に挟んでおくと、クッションがわりになってあまり締めつけ感を感じずに済みますよ。お試しください。

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 最後に。高速バスは長時間同じ乗客が近い位置で乗り合わせて行くものですから、トラブルやストレスのかかることが多い乗り物です。全くストレスフリーになることは不可能かもしれませんが、例えば友人と二人隣合わせで座席を取れたりすると、隣に対しての気は使わずに済みますし、そうやって少しでもストレスを軽減できる策を取って、より快適になるように自分で環境を整えることも必要だと思います。あとは慣れです。僕も初めての頃は全く寝れず、また寝れないことがよりストレスになり、翌日はぐったりしていましたが、最近では寝れないことも受け入れつつありますし、2時間くらいの睡眠でも翌日の行動に支障のないレベルになってきています。回数をこなしてより快適な過ごし方が出来ていくことで、旅行へのスキルアップと考えることも、また旅の楽しさなのかなあとか考えています。ので、何度も繰り返してみて最適な方法を探してください。
 では、よい旅行を!

参考:最適なコミケ遠征方法とは?〜2010年夏版


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