けいおん!!24話(最終回)が、個人的にはあまり泣けなかった理由を考えてみた

 けいおん!!最終回(24話)を見ました。「泣ける!」との評判でしたが個人的には泣けませんでした。23話までが素晴らしかったこともありましたが、予想よりも泣かせに来なかったなあ、というのが個人的な印象でした。23話まで見て、ある程度覚悟がついていた可能性が高いのですが。
 しかしながら、本気で泣かせようとしたならば、もっと他に演出のやりようがあったんじゃないか? とは思います。何せ、24話前半部分でのお笑いを前面に出した構成とかは、後半に泣かせるための溜めには思えなかったんですよね。むしろ最終回を悲しい気持ちで終わらせないような、喪失感で埋めつくされないような、そんなクッション的な演出のようにも思えました。さわ子先生とか和とか、それぞれにグッとくるシーンがありましたが、それも割と駆け足で終わっちゃったかな? という印象で……。泣いた!って人が多かったので、僕みたいに感じた人は少数派だとは思いますが、もし僕と同じように感じていた人がいたなら、一緒にその理由を考えてみましょう。

  • 卒業する部員たち同様、視聴者側の心の準備も出来ていた?

 卒業していく4人については、既に悲しさみたいなものはあまり感じている様子は無かったように思います。唯だけがやや空回りしていたようにも見えますが、最後まで成長せずそのままの唯だった、という部分を描きたかったのでしょう。いつもの唯だとしたら、唯自身も卒業式で平常心を失っているわけではない、ということになりますよね。普通じゃなかったのは梓や憂など下級生たちでした。
 梓に感情移入していた人なら、恐らくは彼女が泣いたシーンとかその前からじわじわと来ていたかもしれませんが、上級生たちに感情移入していた場合はどうでしょう? 彼女たちは泣いてませんでしたよね。彼女たちは20話で泣いているんですよね。あの時は梓は逆に泣かず、先輩たちを慰める側に立ったわけですが。その20話で上級生たちは、既に「終わってしまう(しまった)」ことを認識して受け入れてしまったから泣いたわけです。逆に梓は、受け入れたのが24話だったので、そこまで泣かなかったのだとは思うのですが。
 個人的には、この20話で軽音部の上級生4人が卒業してしまう(=終わってしまう)ことを、作品中の4人同様に受け入れてしまった視聴者が、卒業回でそれほど泣けなかったのかな? と考えています。梓の立場に立って見ていたというより、自分たちの部としての活動が終わってしまった、という共感を感じた視聴者が、20話で最終回的なものを感じていたのかな? と思ったのです。それ以降の話はすべてエピローグ的に受け止めたりしていたようにも感じましたしね。澪が、紬が、唯が律が泣くのを見て一緒に涙して、枯れるまで泣いたような人たちの中には、24話で梓に感情移入しきれなかった人もいるのかな? と考えました。
 上級生たちが20話で泣ききって気持ちに整理がついたように(そう見えたのですが)、僕らもそこまでで泣き切って、最後まで静かに見届ける準備が出来ていたんじゃないかとか思ってしまいました。

  • 最後に歌で終わるのが23話と同じ

 話の序盤は演奏する流れじゃなかったのに、最後に演奏して終わる、というシチュエーションが23話と24話で立て続けにありましたよね。これも最後の余韻という意味では薄れてしまったように思えます。これは、特別編2話目では行わなかったのですが……(最後は演奏で終わるのかと思いきや。。でしたよね)。
 別に2話続けてでいいじゃないか!という声もありそうですが、歌といえば20話のライブ回が印象的だったわけで、どちらか1回で良かったような気がするんですよね。もちろん「けいおん」ですから、演奏が最後だったことにそれほど違和感はないはずなんですが、それまでの話で演奏していたシーンなんてほとんど無かったわけで、それが終盤は立て続けに登場してくることに違和感を感じてしまいましたw まあ、あんまり練習はしてないけど音楽は好き!って言うことを示していたことと、残り少ない時間くらい軽音部らしく演奏しよう!という演出なのかもしれませんけどね。

  • 梓が先輩4人の誰か(特に唯)を特別扱いしなかった

 これは結構大きいんじゃないかって思うのですが。視聴者の多くが、梓は最後に唯に泣きつくor唯が抱きしめるものと思っていたはずですが、アニメではそれをしませんでしたよね。単行本では唯が抱きしめていましたが。なので単行本的な終わり方の方がより泣けたんじゃないか?と思っていた人も多かったように思いますし、それは大いに同感であります。しかしながら、京アニの演出というか二期を描いてきた方向性からは、梓が唯1人に抱きしめられる(あるいは抱きつく)ことをさせなかったんだと思います。
 京アニの「けいおん!!」の描き方は、梓から見た軽音部とその成長だと思いました。梓は梓で軽音部の色の染まっていく様を描いていましたが。もちろん「ゆいあず」回など、唯と梓の絆の深まりというか、梓がだんだんと唯の色に染まっていくさまも描いてはいましたが、同時に軽音部メンバーたちが皆、唯の色に染まっていくさまも描いていたと思います。律は若干それを制御する側でしたが、紬は唯以上に弾けるようになりましたし、澪も恥ずかしげもなく自分を出せる唯と距離を置きつつも羨ましさを感じていました。それが1つになったのが、ロミオとジュリエットの時でしたし、ライブ回だったと思っています。つまりは、唯が軽音部の象徴的な描かれ方をしていて、唯が好きになることが、イコールで軽音部そのものを好きになる、という意味なんだと。なので、唯1人に梓が抱きしめられる描写をアニメでは避け(唯は両手を肩に置いただけでしたよね)、演奏しているシーンでは4人と梓との距離感も描いたのかな?とか思いました。
 視聴者側から見れば、唯に梓が泣きつくくらいの描き方を期待していたのかもしれませんけどね。ですが「けいおん!!」はあくまで梓が主人公的なポジションで、梓から見た軽音部という描き方をしていたので、唯をあまり特別視させない演出は納得なんですよね。

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 丁寧すぎる演出にはもう目からウロコしかなかったんですけどね。例えば梓に唯が渡したもの。写真はけいおん!の頃に撮ったものらしいですし、桜の押し花は二期の1話で、始業式の時に唯が渡り廊下で立ち止まって、そこで拾って作ったものですしね。
 そして人によっては、24話よりも、本当の最終回になった特別編の2話目(26話)のほうが泣けた、という意見もありますが、確かにわかる気はします。が、やはり24話が最終回に相応しい内容だったことは間違いないでしょう。
 ただ、26話を見た後に24話を再視聴すると……泣けますね。。どっちやねん!という感じですが、最終的には「これが本当の終わりじゃない!まだ2話ある!」ってのが頭にあるからこそ泣かなかっただけなのかもしれませんが……(こんな〆?)。

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