失敗してばかりの暁美ほむらは、本当にまどかにとっての救世主なのか?〜魔法少女まどか☆マギカ8話より

 まどか☆マギカ8話観ました……。ブログ記事で指摘したとおりにさやかはなってしまいましたが……やはり、より恐ろしい描き方だったように思います。怖さは7話ほどでは無かった(覚悟は出来ていたため)ですが、キュゥべえの例のあたりとかとても酷いものでしたね。ただ、最終回へ向けてようやく話が加速し始めた気がします。この先が本当に怖いのですが楽しみです。
 さて今回は、ほむほむこと暁美ほむらについて整理してみようと思います。8話にてようやく本心が明らかになったというか、自分からバラしてしまいましたが、そこから彼女のこれまでの行動を振り返ってみようと思います。
 ほむらの目的は、ズバリ「鹿目まどか」です。というか、まどかを魔法少女にさせないためなのが第一なのと、まどかが悲しまないよう、ショックを受けたり苦しんだりしないようにすることを目的にして行動しているようです。それが一連の彼女の行動を全て意味付けているらしいのです。しかしながら、振り返ってみるとあまりにも上手く行っていない。それどころか、完全に失敗ばかりです。キュゥべえに「運命は変えられない」と言っていましたが、キュゥべえに言われてしまっても仕方がないと思うくらいに酷いものです。それでは、以下に彼女の失敗の道程を挙げていきます。

 1話でほむらはキュゥべえを襲撃しましたが、あの行為に意味はあったんでしょうか? というのも、キュゥべえはまた再生して復活することをほむらは知っているわけですから。あの場面でのキュゥべえの勧誘は失敗しても次は成功するかもしれませんしね。
 そもそも、ほむらはキュゥべえ襲撃に失敗します。まどかとさやかにも邪魔されたためですが、殺せず、手負いのキュゥべえをまどかに見つかった時点で失敗してますし、何よりキュゥべえが圧倒的な被害者になってしまい、優しいまどかの心の中に入りやすい状態を作ってしまいました。ほむらが襲撃さえしなければ、普通の状態の怪しい勧誘業者としてキュゥべえはまどかと出会っていたわけですし、ほむらはそんな小動物を襲った悪いヤツというレッテルを貼られるわけですし、企画段階から完全な失敗だと言えるでしょう。あと、それをキュゥべえに利用されている時点でもはや「やらないほうがマシだった」レベルですよね……。

  • 3話でのマミ死亡シーン

 3話の、マミが死ぬ前にマミを制して魔女を倒しに行こうとするシーンがありましたが、マミに完全に拒否されてしまいました。これは、マミがこの魔女に殺されるシーンをまどかの目の前で見せたくないということだとは思います。まどかは相当マミに入れこんでましたからね。まどかが魔法少女になる可能性も阻止したかったんでしょうが。しかし、失敗しました。
 この失敗の原因は、マミとのコミュニケーション不足が挙げられます。2話でもまどかを魔法少女にするなと言ってましたが、逆にマミに挑発されて苛立つようなシーンもありましたよね。というか、そもそも何も自分のことを言わないままで、杏子でさえ一目置く存在のマミを納得させられるわけがないんですよね。どうもその辺にほむらは気づいていないようです。
 結果的に、まどかにはマミが惨殺されるシーンを目の前で見せてしまうことになってしまいました。もしかすると、魔女の特性的にマミが殺される確率が高い……というよりは、魔法少女をああやって喰い殺す魔女だからこそほむらが自分で倒したかったのかもしれませんが……。

 4話でさやかは魔法少女になって願いを叶えてしまいますが、ほむらはあまり関心が無いようでしたし、それを阻止しようという感じにはなりませんでした。
 しかし結果的に、素質がなく弱いどころか、負の感情が多く穢れがたまりやすい性格のさやかは、ピンチのたびにまどかが魔法少女になりそうになるどころか、さやか自身が魔女化してしまう危険性を常にはらんでいて、非常に「まどかを魔法少女にさせたくない」ほむらにとっては厄介で、阻止しなければならなかったのです。
 ですが、ほむらはまどか自身しか見ていないのでさやかまでケアしようとはしていないんですよね。本当ならさやかこそケアしなければならない、ほむらにとっては大切な親友のはずなんですが……。

 どうしようもなかったと言えばそれまでですが、あれだけ寸止めでまどかの魔法少女化を阻止してきたほむらなのに、あの場面でまどかがソウルジェムを投げ捨てるのを阻止できなかったんでしょうか? その後の展開を考えると何としてでも阻止しなければならなかったはずですよね。
 これを見せたことでまどかの魔法少女化へは遠のきますが、さやかの身に何かあったら悲しみにくれるはずなのがまどかです。なので5話〜6話で杏子がさやかを襲った時には、ほむらは寸前でさやかを助けたはずです。だからこそソウルジェムを投げた時に、一瞬でそれを取りに行くという行動をしたはずです。なら、なぜそれを予測できなかったのかな、と。
 結果的に、さやかの心の穢れがたまり悲惨な結末を歩む流れにもなりましたし、ほむらには親友を殺したという多大なショックを与えてしまいましたし、ここでの機転の利かなささは非常に致命的に思えました。

  • 6〜8話で、せっかく歩み寄ってきた杏子に説明していないこと

 杏子は、同じくベテランかつ孤高の魔法少女であるほむらに興味を持ったようで、6話ではポッキーのようなお菓子を差し出したり、8話ではワルプルギスの夜の対策会議なのかほむらの家にまで上がってカップラーメン喰らってましたね。ただし、そんな歩み寄る杏子に対しても、ほむらは決して自分の本性や心情を明かしてはいませんでした。杏子はそれでも、実力を認めてなのか多少信用していて、さやかに対しての利害が一致している間は共闘していましたが、ほむらがさやかを殺そうとした時に割って入ってしまいました。
 もちろん、ほむらはさやかを殺すべきではありませんでした。が、まどかに知られないうちに魔女化を阻止すべくさやかを殺す手も最悪ではありません。が、それすら完遂できなかったのは、杏子との意思疎通が不十分だったからに他ならないでしょう。
 そもそもさやかへの説得は、信頼度が相変わらずゼロなほむらではなく、まだ魔法少女になってからの自らを明かした杏子のほうがよほど向いているはずです。なのにそれもしないどころか、説得すること自体を杏子にも伝えず独善的に行動してしまいました。杏子がさやかにグリーフシードを使うことを勧めていたら、さやかは使ったかもしれないわけです。なのにそのことも言わず、また殺そうとしたことで、杏子・さやかとほむらに決定的な溝も出来てしまいましたしね。杏子もさやかとのことをほむらに知らせていない可能性はありますが、それ以上にほむらは自分のことを杏子に伝えなさすぎていると思います。
 そのことが、結果的にはさやかの破綻へと繋がり、共闘してくれてた杏子を巻き込み、まどかも悲しむ最悪の結果しか見えてこないのに……。

 8話でほむらは、またキュゥべえの口車に乗って魔法少女になろうとするまどかを見かねてか、キュゥべえを銃殺してしまいます。ほむらの中での順位付けは「まどかが魔法少女になる」ことは何よりも阻止しなければならないわけですから当然とも言えるのですが、まどかの中ではキュゥべえは決して純粋に悪者では無いんですよね。あそこまでしてても。ただほむらの中では絶対悪で、今までは「殺してもまたやってくる」ことと「まどかの目の前で殺せばまどかがショックを受ける」からこそ何もしなかったわけですが、さやかの魔女化を止められなかったことでの焦りや苛立ちもあったのか、やってしまった、という気がします。
 そもそも、まどかの中でのほむらの順位って決して高くないんですよね。結局何も話していないし、何も教えてくれないし、学校帰りに店に寄ったりはしているものの、ほむら自身の言いたいことしか言ってないんですよね。これでは、優しすぎるまどかと云えども信用などしてくれません。ほむらの順位は、もしかしたらキュゥべえと同じくらいなのかもとも思ってしまいます。
 結果として、ほむらは泣き崩れてしまって懇願しても、まどかの優しさには全く届かずに見捨てられてしまいます。それ以前に、キュゥべえをいきなり殺すという凶行でまどかに多大なショックを与え、ほむら自身が近づいてきた時にまどかは怯えてさえいたことから考えても、まどかのほむらに対するイメージは、ほむらが泣きながらする話だったとしても聞くに値しないくらいに悪くなってしまった、とも考えられます。
 ほむらとまどかに何があったのかはまだわかりませんが、少なくともこの時点では、ほむらとまどかが親友だった……というシナリオにはなってませんし、なる余地が残されていないようにも思えます。

  • ほむらのやっている「まどか自身のために」という行為そのもの

 ほむらがまどかのためを想ってやってる数々の行為ですが、実際のところは本当にまどかのためになっているのでしょうか? 8話の銃殺シーン直前では、色々なことを言われて、目の当たりにして、それでもなお魔法少女になる決意をするまどか自身の気持ちなんて全く考えていないような気がします。むしろ、あまりここまで自分の意志で決めてこなかったまどかが、ようやく決意したところを邪魔してしまったようにも思えます。
 つまるところ、ほむらは非常に独善的なんですよね。自分の正しいと思うことをやってるだけ、なんです。そこには、自分の中の正義しかなく、それがそもそも「まどか自身の魔法少女化を防ぐ」ことという単一的な目的だけが先走っている状態なので、まどか自身の気持ちを考えることが何処か飛んでいってしまっているんですよね。要は自分の理想さえ叶えばいい、と言う風に。
 これって、さやかや杏子と同じなんですよね。他人のために願い事を叶えたという意味では。ほむらの願い事が何だったかはわかりませんが、まどか関連であることに違いはないでしょう。そしてほむらは、まどかのために魔法少女としての力を使っています。これは、マミやさやかが自分のためだけにだけ力は使わない主義だったことに少し近くて、杏子のような自分自身のためにしか力を使わない主義な魔法少女とは真逆でもあります。
 さやかの例を観るまでもなく、愚かなことをやってますよね。まどかの気持ちを理解していれば、あるいは自身の想いや行動の意味を伝えていれば、まどかの中でのほむら株は上がっていて、キュゥべえの勧誘にも乗らなかったはずですが、それを差し引いてもあまり感心できるようなことではない気がします。明かせない理由もあるのかもしれませんが……。

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 とまあ、ほむら自身が絡んだ事例での失敗例はもの凄い数あります。しかもそれらが積み重なって、何も手を出さなかった時のほうがまどかにとって幸せな場合がほとんどという酷さです。もはや救世主なんてものじゃないですし、ドジっ子というレベルも遙か超えて、「運命を変える」なんてことが笑えてしまうくらいに選択肢を間違い続けてるようにも思えます。
 そのほとんどが、ほむら自身の心情や過去、思惑などを明かさないところから来ているので、これらを明かせない重要な理由があればどんでん返しが来るのかもしれません。が、8話でさやかがほむらに対して「全てを諦めきった目をしてる」と指摘していましたが、それがもし本当なら、ほむらが過去に自身を明かしてやってみたところ悲劇的な結末ばかりだったから……諦めたのかもしれませんが、結果的にはやはり何も変えられていないということになりますね……。もう、様々な選択肢を選び尽くした結果の世界なのかもしれませんけどね。いずれにせよ悲劇的な結末を迎えそうな気はします……。

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