中田は何故イチローになれなかったか?(2)

 今日のニュースを観ていると、色々なサッカー選手からコメントがありましたね。それで思ったのが、先輩の選手、特にフランスW杯などに出た選手からは、中田に対する評価がもの凄く高くて、仲が良かったんだろうなあ、って思ったんですが、ツネ様こと宮本ら現在の日本代表メンバーからは、それほど良いコメントが無かったんですよね。よほど、ジーコJAPANの元では浮いていたんだな、と感じされられてしまいました。
 そう言えば中田って、結構確執が多いんですよね。セリエAプレミアリーグでプレーしましたが、たびたび伝えられたのが、監督との確執でした。どちらかと言えば、プレー以前の問題で試合に出られない、と言うときが結構ありました。もちろん、監督の選手としての好みがありますから、出場機会の増減はありえるんでしょうが、それにしても監督との衝突が多かったように思います。
 また、あまり「チーム愛」は無かったのかな?というのも感じました。好条件があるなら移籍、と言うドライな感じも。
 ピッチを離れると、自らHPやカフェなどを立ち上げ、東ハトの顧問を受けてキャラメルコーンのパッケージを考えるなど、サッカーから離れた部分で活動を広げました。これも、サッカー選手から観れば不快だったのかなあ?と思ってしまうところがあります。

 
 これに対してイチローは、意外に野球選手との交流はあるようです。例えば、オリックス時代もマリナーズ時代も共にプレーした長谷川滋利には、引退の際に軽口を叩くような仲でしたし、仰木監督との太いパイプはメジャーに行っても変わりませんでした。現チームメイトの城島とも仲が良いようですし、2年位前に放送された、ヤンキース松井秀喜との対談番組でも、イチローから松井に対して次々と質問していたのが印象的でした。
 そして、「チーム愛」が意外にあるんですよね、イチローには。彼が活躍し始めた頃は強かったオリックスも、年々順位が下がっていきました。が、彼はチームに留まりつづけました。そしてメジャーへ移籍してからも、弱小のマリナーズに所属しながら、移籍をしていません。あれだけの成績を毎年残しているんですから、ヤンキースなどが大金を用意してオファーを出しているにも関わらず、チームに留まりつづけています。
 グラウンドを離れると、これまではあまり目立った活動はしていなかったのですが、今年初め、ドラマ「古畑任三郎」に出演して好演し、驚かされました。

 …が、すべては「野球のため」なんですよね。
 「古畑」に出演したのも、自分に、そして関心の薄かったWBCに世間の目を向けるためのパフォーマンスだったわけで。オリックスのキャンプや紅白戦に参加したのもそのため。すべては野球のためだったと思います。
 そうしたイチローの腐心が実ったのか、WBCは最後もの凄い盛り上がりで、決勝は視聴率が50%前後という社会現象にさえなりました。

 もちろん、現在のサッカー人気は、中田英がもたらした「W杯出場」という快挙から続くもので、彼のプレーを見たい、と言う人間が、日本戦の視聴率を押し上げているという側面もあります。が、今回のW杯、中田は常に孤独でしたよね? 自分の頑張っている姿を背中で見せたにも関わらず、他の選手はついてきませんでした。イチローの場合、彼が鼓舞してチームがまとまりましたからね。もちろんWBCは、非常にラッキーな面があったからこその優勝だったわけですが、運も実力のうちです。

 何が、中田を孤独に追いやったのかは、決定的なものは何も無いのですが、ピッチに彼が倒れこんだとき、誰も周りに来なかったのが、如実に現していたのかなあ、と思っています。