まどマギ[新編]叛逆の物語〜ラストの暁美ほむらは何を意図しているのか?

 魔法少女まどか☆マギカ新編を引き続き観ています。立ち止まって観たり巻き戻したりして観るのはまた違うものがありますね。
 さて今回も映画館で観ていた時から気になっていたところを挙げてみたいと思います。それは、ラストのラストのほむらのシーンが意図するものが何なのか、ということです。具体的にはこのカットです。


 ほむらが最後に落下しているところです。ここのシーンは脚本などに入っているわけではなく、劇団イヌカレーの泥犬さんの解釈や意図するものから挿れられたシーンというのは、新房総監督や脚本の虚淵玄さんらのインタビュー記事から読み取ることが出来ます。が、意味がよくわからないんですよね。単純に破滅願望的なものなのか(落下=自殺のような)何か別の意図があるのか考えてみましたが、いくつかこれかなあと思うものもあるので書いていきたいと思います。

  • 本編の最後の手前のシーンとのシンクロ?

 本編でまどかが世界を再編して、最後に高いところでキュウべえとほむらが喋るシーンがあったかと思いますが、そこから魔獣と戦うために降りているんですよね。ここの落下の意味は、今度は戦うべき相手が魔女から魔獣へと変わりはしたけどもまた新たな戦いの日々が始まる、というようなニューステージへの移行の意味が含まれているのかなあと思います。
 悪魔となったほむらにとって敵はゆくゆくはまどかになるんでしょうけど、この時点ではどういう存在が敵となり得るのかは全くわかりません。キュウべえもボロ雑巾みたいになってて喋ることも出来なくなっていることを考えても無力化されてしまってますし、魔女でもあるさやかも無効化されて属性も変えられてしまったわけですから、敵だった存在は敵ではなくなっているものと思われます。が、それでほむらに安寧の日々が来るのかと考えるとそれも違うと言わざるを得ません。ほむらの体制を壊そうとする何かと戦わなければならないのでしょう。ずいぶんと感じは違ってくるかもしれませんが、また新たな敵との戦いの日々が始まる合図がこの落下なのではないかということです。

 「もうまどかには戦わせない」と誓ったあのルートでは、ほむらはワルプルギスの夜と1人で戦うことを決意して重武装をし対峙しますが負けてしまいます。そこで、まどかがキュウべえと契約しそうになってるのをほむらは落下しながら「だめぇぇぇぇぇ〜〜っ」って叫びながら目撃しているんですよね。その意味を考えてみると、絶望とか諦め、あるいは自身の敗北、ゲームオーバーみたいなイメージがあるのかもしれません。
 とはいえ悪魔になったほむらが落下した程度で死ぬとは思えず、自身が壊して作った理がそう簡単にリセット出来るとも思えずこの落下はただの願望とかポーズ的なものだろうとは思いますが、取り返しのつかないようなことをしてしまった後悔の念が少しはあったのかなあと言う風にも見えてきます。

  • 新編 途中のまどかが落下したシーンとのシンクロ?

 これが一番だろうとは思いますが、ほむらが魔女になって絶望を感じていた一連のシーンにあったところです。椅子の上に立ったまどかがまるでカカシが倒れるように落下して、地面にぶつかると溶けるように消えていくあのシーンです。


 実のところ、最後の落下シーンの前にほむらはこのシーンで座っていたような椅子に1人で座っているんですよね。落下するときには椅子はなくなっているのですが、非常によく似たシーンになっているように思います。
 また落下する直前のまどかは不気味に笑っているのですが、だいたい悪魔ほむらもそういう笑い方になっているんですよね。


 そのことから考えると、回想シーンというかただほむらの頭の中でのシーンではありますが、そこで出てきたまどかと同じことをほむらはしようとしている、という風に観ることが出来ると思います。しかし、このまどかと同じことをしようとしているというのは、ほむらにはどういう意図があったと観るべきなのでしょうか?
 個人的には、まどかと同じように溶けてなくなりたい、という願望からなのではないかと観ています。内容的には2つ目のところで書いていることとほぼ同じですが。意味としては、まどかと同じように溶けてしまえば混ざりあえる「愛」が何かへと変化してしまったかのような願望から来る気持ちなのか、あるいは自分という存在が溶けてなくなってしまえばいい、というような破滅願望から来るものなのか……という感じです。前者は説明不要かもしれませんが、後者だとやはり取り返しのつかないことをしてしまったような気持ちがどこかに残っているのかもしれないということと、決してこのルートがハッピーエンドではないことを示しているのかもしれません。
 ほむらはずっとまどかの幸せを一番に考えて行動していましたが、当のまどかはほむらのことを最終的には聞かず自分で考えた行動をしてしまいます。この新編では最終的にほむらがまどかに自身の願望を押し付けたような形になったわけで、かつほむらにとって円環の理になるよりもまどか自身が幸せであろう結末を用意した形にもなっていると思います。ただまあ、今のまどかにとっては秩序を守ることのほうが重要になっていて、まどかの意に沿わない形にほむら自身が持っていってしまってるという自責の念みたいなものがあるのかもしれません。それで何もかもなくなってしまえばいいとか考えていて、ああいう行動に出たのかなあと思うわけです。

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 とまあこんな感じで観てみました。正直答えは特に無い(この演出を考えた泥犬さんの解釈も答えではないはず)と思うのですが、色々と考えられるとも思うので1つに決めなくても良いと思ってます。まだまだ色んな想像も出来ますし、ここからまどマギの次の展開も考えられるとも思いますので、そういうことにも思いを馳せながらまだまだ観て行きたいと思います。